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死霊王に俺はなる!  作者: 城乃山茸士
死霊王の目覚め
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58 大聖堂の聖女

 地方神殿でのミイラ騒動の話は当然中央大聖堂にも伝わっていた。そしてそれが聖女候補であったことは、中央大聖堂の聖女、カタリナの耳にも入っていた。


「で、そのときその聖女候補がいた場所に残されていた地図と、その上にあったものの配置がこれなのですね」

「はい。完全に再現はできませんが、概ねこのような配置でした。意味を持つ配置のようですので、本人が去り際に崩していたりはしないかと」

「ありがとうございます。では調べさせてもらいますね」


 アリシアが気配の探知に使った、地図の上にいくつかの道具を並べて構成した魔術回路。術そのものは失われているものの、配置によって生まれる意味は見るものが見ればある程度理解できるうえに、それを使って探知したものは黒王の棺あるいはそれにかかわる何者か、そして起こった現象としてミイラ化して走り去ったことまでわかっている。わかっていることを並べていけば、どんな術だったのか何が起こったのか、方程式を解くようにその隙間を埋めていくことはできる。


「こういうことを生身でできるというのは……」


 聖女は天使との融合儀式によって生み出された、いわば神殿の切り札である。ゆえに彼女は人とは違うという自覚がある。人の身では起こせない奇跡を起こす、そのために存在している。


「本当に人なのかしらね……聖女になってくれてたらずいぶん楽させてもらえたでしょうに」


 聖女“候補”というからには聖女になれる者もいればなれない者もいる。現在聖女はカタリナ一人だが、複数人いたこともあれば一人もいない時期もあった。実際カタリナが聖女になるまではしばらく誰も融合儀式に成功していなかったのだ。なので、聖女はとてもとても忙しい。一人きりの聖女が、聖女不在の間の様々なことにも、あるいは将来的に聖女が不在になったときの備えにも助力や助言を求められているのだ。


「ほんっと、腹が立ちますね」


 にっこりと。本当に何の邪気も含まない、厳かさすら感じさせる笑顔でカタリナはアリシアへの怒りを口にしていた。


「で、その子が向かった先で、街一つアンデッド化、ですって?」


 魔導士というのはあまり神官と仲が良くない。基本的にはお互い関わり合いになりたくないとすら思っていることが多い。にもかかわらず、商会の仕事でバーデン伯のところに行った魔導士が、その仕事が終わってすぐに近くの神殿に駆け込んだのだという。あくまで速報だが、ちょっとした騒ぎになっていた。


「でもまあ、大神官猊下は喜ぶのでしょうね」

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