表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死霊王に俺はなる!  作者: 城乃山茸士
死霊王の目覚め
51/142

51 アシュとイライザ

「イライザちゃんちょっと手伝ってほしいんだけどー」

「何をでしょうか?」

「んー、いいことー」

 イライザがちょっとこちらを見る。まあいいんじゃないかな。基本的にはみんな好きにしてるのがいいと思うし。

「話を聞いて、イライザが嫌だったら断ったらいいぞ」

「はい、マスター」

 イライザの魔術回路群はいわばいくつかのモジュールをつないだコンピューターのようなものだ。よくこの設計にたどり着いたものだ、と今の俺は少し感心している。そしてアシュはイライザと魔力線をつないで何かさせたいらしい。さて、この二人が組んだら何ができるのか、何をしようとしてるのか。ちょっと楽しみにしている俺がいた。


◆◆◆


「商会の人が来る前に、街をつくりかえようかなって」

「この城ではなく。街をですか?」

「あまり中に知らない人入れたくないのよね……ほら、長年ひきこもってたわけじゃない?どうも気後れするというか……」

「なるほど、人見知りというものですね。理解します」

「そ、そうね。なんかダメ人間みたいな言われ方だけど……」

「ひきこもりも基本的には良い意味では使われないと思いますが」

「むう……イライザちゃんのくせに生意気だ……」

 イライザの演算能力、本来なら人格をエミュレートするはずだった領域は現在マスターの力で生まれた自我のおかげで丸ごと空いている。アシュはそこに目を付けていた。

「こんな感じでさ……ごにょごにょ」

「なるほどではここを……」

 街を作り替えると言っても別にダンジョンにしようとか考えているわけではない。ただ、客を迎え入れる場として、いわばロールプレイングゲームの町のように、入ってきた人に対して決まった反応のできる傀儡を配置した、形だけの町を作ろうと考えていた。

「それにしてもイライザちゃんの記録水晶すごいわねぇ」

「色々悪いことをして手に入れたものをふんだんに使ってたようですから」

「おかげで色々試せるんだもの、イライザちゃんをつくった人にも感謝だね」

「わたしを作ってくださったのはマスターだと思っています。その人は材料を集めてとりあえずつないだだけですね……」

 割と辛辣だが実際起動すらさせられなかったので、その頃の記憶もあるイライザとしてはどうしても、その男が“作った”という表現には違和感がある。少なくとも彼女の自我はその男が作ったわけではないし、あの時点での体を起動させたのもアリシアであってその男ではない。

 ちなみに、アシュの中に知らない人を入れずに商会の人間に会うという目的であれば、バーデン伯とその周囲だけ傀儡にしてもなんとかなりそうなものだが、盛り上がっている彼女たちがそれに気づくことはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=476437095&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ