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死霊王に俺はなる!  作者: 城乃山茸士
死霊王の目覚め
49/142

49 黒王対策分室発足

 カルドは王国の西の端で国境を接している。さすがにウトバム自身は王国を横断してまでカルドで行われる葬儀に参加するのは不可能だと判断し辞退したが、


「妙な話になってるじゃないの」

「神官だけ呼ぶなら何も面倒はないはずなんだけどね、わざわざカルドの宮廷経由で王都に正式な書面を回してる。単に悪霊退治に失敗したという話ではないのだろうね。少なくともカルドの国教会の連中としてはそういう話にするつもりはないんだろう。我々にも国として関われと言いたいのだろう、が、それにしても妙に強気じゃないか?」

「黒王の棺との関わりがあるんだろう、お前らのせいで被害が出てお前らの仲間も死んだんだろう、神殿だけの問題じゃないだろう、って言いたいんだろうな。にしても意外だけどな」


 これまでの二国間の力関係から言えば、身の程知らずと言ってもいい。王国民としてのプライドはそれほど高くないタイプのメンバーしかここにはいないが、それでもこの件については不思議に思うくらいだ。

 話しているメンバーは黒王対策分室所属という形になっている。新たに発足した調査本部内の組織ではあるが、ウトバムの名前で金を出して雇った、私兵と言っていい連中だ。個人の財布と組織の財布が曖昧な、厳密な管理を受けていない調査本部だからできることである。だからといって好きなように着服できるというものではない。あくまで調査本部長としての仕事に関して、公私混同が多少黙認される程度である。


「例の連中が帰ってきたぞ。依頼の確認手続きが終わったらここに来るように伝えてある」

「ありがとうございます。では私はこのままここで待ちます」

「おう。すぐ来ると思うからちょっと待っててくれ」


 足音が離れると分室メンバーたちが口々に思っていることをウトバムにぶつけ始めた。


「死霊術師って、自分でそう言ってるのか?」

「うさん臭くないか?多少できるとしてもは隠すもんだろ?」


 まあ正直ウトバム自身もそう思わなくはない。例のミイラにやられた死霊術師とその助手たちを思い出す。あんな風に自らをアピールするのは珍しいし、彼も研究は人目につかないところで行っていた。


「直接会うのはこれからだから、うさん臭いかどうかはわかりませんが……本人がそう吹聴しているというわけではないそうですよ。魔術師としてサポート役の経験が長く、信頼はできる人のようです。いざというときにはそういう術を使う事も厭わない、という話ですが」


 ちょうど良いタイミングでドアがノックされる。


「来られたようですね。どうぞ」

「失礼します」


 入ってきたのはこの辺りではあまり見ない民族衣装を身にまとった女性だった。衣装とセットなのか、彼女の趣味なのかわからないが、大きなウサギの耳のような飾りが頭の上で揺れている。


「うさぎ……?」


 分室メンバーの誰かの上げた声に反応して耳がぴこんと動く。


「うさぎは嫌いぴょん?」

「いや……うさぎは問題ない。アンタがその……死霊術の得意な冒険者ってやつなのか?」

「得意かどうかはわからないけど……使えるぴょん」


 あまり使う人のいない術で、その上普通はわざわざ他人に使えることを吹聴しないのだから、比較するのは難しい。ウトバムとしても、彼女がどの程度死霊術が使えるのか判断する能力があるわけではない。ただ、しばらく一緒に同じ仕事をしていくことができるのかどうか、そこが重要だった。受け答えは確かに素っ気ないがおかしなところが……語尾以外にあるわけではない。条件面でお互い問題ないことだけ確認すると、ウトバムはほっとしながら言った。


「今ここにいるメンバーが、黒王対策分室の全員ということになる。これからよろしく頼む」


https://ncode.syosetu.com/n5673gq/


ウサ耳冒険者の話(外伝?スピンオフ?)誤って先に投稿してしまいましたが書き始めてます。

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