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死霊王に俺はなる!  作者: 城乃山茸士
死霊王の目覚め
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48 冒険者の店

王都から東に馬で何日か進んだところ、国境の手前に、王都ほどではないがそれなりに大きな街、サンテナンがある。隣国ユーグゼノからやってくる人や物の集積地でもあるため王都とは違った活気に満ちている。

 黒王復活疑惑調査本部長であるウトバムはこの街に用があった。


「調べろって言う方は簡単だけど、ね」


 上司からの無茶ぶりに応えるべく、また名ばかりの調査本部を形にすべく、彼は辺境伯領から王都に戻るとすぐに、サンテナンに向かったのだった。人や物の流動性の高い街には必ずあるもの。その中でも、王国最大のものがここにはあった。


「久しぶりだけど、大丈夫だよな」


 目的の建物を見つけ、中に入る。男女問わずガラのあまり良くないのがたむろしている。所謂冒険者の店。それこそピンからキリまで金で仕事を受けようと思いついた定職を持たない人物が集まってくる店である。中には定職なりそれなりの地位なりを持っていてもそういう生活へのあこがれでやってくる連中もいるが。そしてそれなりの割合で、最初に手を出した仕事を完遂できずにいなくなってしまう。ウトバムはここで、自分が直接指揮するチームを作るつもりでいた。


「久しぶりじゃねえか。お堅い仕事に就いたと聞いていたが、どうした?クビにでもなったか?」

「クビにしてくれりゃ気が楽になるんだけどね」


 最近普通にこなすのでは処理しきれない仕事ばかりだと愚痴りながら、昔と変わらない雰囲気の店主にほっとする。


「何人か人を紹介してほしいんだ」


 打ち合わせのための個室に通され、ウトバムはそこで店主に色々と質問された。一通り聞き終わると


「まあ、やりたいことは分かった。だいたいのメンツにも心当たりはある。ただ、死霊術師となると……少し待ってもらえるか?」


 店主が少し困った顔で聞いてきた。ウトバムとしてもこの件についてはすぐに紹介してもらえるとは思っていなかったので、問題ない旨を伝える。少なくともこの国に住む者とその交流のある範囲において、死霊術というのはあまり好まれない。冒険者といえど、わざわざ死霊術が得意です、といった自己紹介をすることはまずないと言っていい。むしろ、少し待ってくれと店主が言ったことでウトバムは希望を持った。正直無理だと断られると思っていたのだ。


「待つのは構わないがその口ぶりだと、アテがあるのか?」

「直接知ってるわけじゃないけどな。多少付き合いのある連中のなかに、そういうのが得意なのがいるらしいと聞いている。ただ、今はうちで仕事を受けてここを離れてる。締め切りのある依頼だったはずだから近いうちに戻ってくるはずだ」


 その心当たりを待つ間、外の候補者たちとの顔合わせに時間を費やすことにした。しかし状況というのは刻一刻と変わるもので、サンテナン滞在中のウトバムのところにも、カルドで全滅した神官隊に参加していた王国の地方神殿の神官長達の正式な訃報と、葬儀の案内が届く。


「正式な国交もないのに神官以外も向こうに呼ぶとは……何を考えている?」


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