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死霊王に俺はなる!  作者: 城乃山茸士
死霊王の目覚め
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23 幽霊の双生児

 この世界において彼女たちが特別不幸だったというわけではない。ある意味ありふれたタイプの不幸に巻き込まれた、そういう話でしかない。割と治安の良い都市部の、それなりに見栄えのする通りでも、そこから少し裏に回れば様々なタイプのトラブルが待ち構えているものだ。事情が特殊だったのはむしろ彼女たちが用が終わって捨てられた場所。本当にたまたまそこに陰の気とでも呼ぶべきものが濃くたまっていた、その程度の偶然。それによって彼女たちはその生を完全に終わらせることに失敗した。

 幽霊、あるいは悪霊、そういったものの発生も珍しくはあるもののそこまでレアというわけではない。陰の気などそれなりの町であればそこかしこに溜まっているし、町の外にもさまざまな気の流れというものがある。


「にしてもさ、殺さなくてもいいと思わない?」

「私は死んだほうがましと思ったんだけど……」


 結局こうして自我を保ったまま霊体として存在し続けてしまったわけで、良かったのか悪かったのかはわからない。ただ、ひとつわかることがあった。


「でもこれで」

「あいつらを皆殺しにできるわね」


 事情はともかく、彼女たちは世間からは悪霊と呼ばれる存在となった。


◆◆◆


「異国の噂話まで持ち込まれても困るんだが……」


 神殿の調査に当たっていた部署から回ってきた報告書に、悪霊によってバラバラにされたごろつき達に関するものが混ざっていた。大方神殿側の地味な嫌がらせだろうと目星をつける。神殿には神殿の事情があるのだろうが。とりあえずモノは正式な報告書の体裁をとっているので、無視するわけにもいかず目を通す。ヒカルとホタルという双子の少女がなぶりものにされ殺され捨てられた後悪霊化して敵を討った、という、要約すればそれだけの話だ。ごろつきがバラバラにされていたので神殿としては“自然発生したアンデッドにより被害者がバラバラにされた事件”を例示して、秘密兵器だの謀略だのという話抜きに起こりえると主張したいのかもしれない。


「ごろつきは神の加護を受けた盾や鎧なんかつけてないだろうが……」


 本当にそんな化け物が相手であれば神官では太刀打ちできないはずだ。


「せめてミイラの話に集中させてくれないかなー、でないと異動願い出しちゃうよー?」


 軽口をたたく男だったが、その目は結構本気のようだった。


(予告BGM)

辺境伯領入りする調査本部長、娘を失った辺境伯の煮え切らない態度。一方マスターオリジナルのアンデッドがついにその姿を現す。


次回、疑惑。死霊王に、俺はなるっ!

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