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死霊王に俺はなる!  作者: 城乃山茸士
死霊王の目覚め
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18 骨だって気になるんです

 アリシアにもイライザにも一応それぞれの部屋というのがある。人のような睡眠は必要としないアンデッドだが、俺も含めてなんとなく起きている時間と寝ている時間のようなものはあるのだ。起きている間はそれぞれ何かをしているか、俺のところに来てお互い身体をまさぐりながら魔力を流しあったりして過ごしている。何かというのは、俺のところに来ていないので何をしているのか知らないのだ。イライザを迎えに行ってもらった時のように何かをお願いするときは魔力線をつないで色々共有しているが、常にそうする必要もない。プライバシーってやつだ。何だっけそれ。何か大事な奴だ。お互いに適切な距離ってのが必要なのだ。


「なーんか、調子狂うなあ」


◆◆◆


「マスターにはここが、どのように見えていますか?」


 アリシアに聞かれたとき、俺は見えているままを説明した。ボロい椅子、だだっ広い部屋、扉。そしてアリシアとイライザ。玉座と名付けたボロ椅子に座っている俺に見えているすべてだ。


「ボロ椅子……マスターが玉座と呼ぶそれが、どのような状態か説明はできますか?……質問が変ですね。ええと……マスターにはその形が認識できていますか?」


 なるほど自分では気づけないわけだ。俺には俺が言葉にした内容、要するに“ボロい椅子”であるという以上のディティールが認識できていない。広い部屋。遠くに扉。城内をうろついた時もそうだ。そして


「マスターはここがどういう場所かご存知ですか?」


 この問いもまた、問われなければ俺が“この城が立っている場所がどんなところなのか”あるいは“城の外はどうなっているのか”気にもしていないという異常性に気づくこともできなかった。


「つまり、あれかな?俺は、ここに何らかの力で囚われている?外に出ていかず、興味も持たず、ただ何となくここにいるように操作されている、ということかな?」

「封印されている、のではないでしょうか」


◆◆◆


 しかし封印っていっても、その前の記憶がないのでは封印される理由もわからないし、もとからこういうぼーっとした性格だったのかもしれない。ただあれだな。アリシアもイライザもかわいいなとは思うし、撫でまわしたり口から魔力吸ったりあちこち魔力流したりしてるのも幸せだし。イチャイチャしてる、っていうんだろうか。イチャイチャってなんだ。なんかこう、この場にそぐわない感じの何かが頭のてっぺんのさらに上ぐらいからたまに入ってくるのが気持ち悪いな。あれか、前世の記憶ってやつか。だから前世ってなんだ。


「やっぱりなあ、ここで寝て起きたら色々忘れてましたって言うんじゃないと思うんだよなあ」


 アリシアもイライザもこの場所については知っていた。割と有名な場所らしい。黒王の棺。縁起でもない名前だ。勇者率いる討伐隊を何度も返り討ちにした挙句、城ごと封印されてしまったんだそうな。そんな御大層な城と結界だが、アリシアの魔術と俺の魔力で普通に出入りできるし魔力線もつながるらしい。なんだそれ。チートか。


「あーもう、なんなんだ一体」


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