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死霊王に俺はなる!  作者: 城乃山茸士
死霊王の目覚め
133/142

133 カルドの動き

 カルドには朝廷と呼ばれる政府がある。帝を中心にした政治組織は、かつては帝が早朝に政務や儀式を行ったことからそう呼ばれるらしいが、今は昼夜を問わず様々な会議が行われるようになっている。また余談ではあるが宗教色の強い儀式は国教会を置く関係で現代ではほとんど行われなくなっている。


「かの王国に貸しを作ったのは良いが、我々の被害も無視できぬな」


 会議の場に集まった官僚達は様々な色の冠を戴いている。色は地位を表しているのだが、


「我々の被害、と言っても主に神殿だしの。せっかくだからもう少し神殿の力を削いでくれればよかったんじゃが」


 言葉の端々から、神殿を自分たちと同じ勢力と見做したくない、という気持ちが漏れている。


「それを表立って言うわけにもいかんじゃろ。今はむしろ、我々の側にも被害が出た、という顔をしておくべきじゃ」


 別のじいさんは少しだけ理性が勝っているようだ。が、腹のうちはそう変わらないらしい。


「実際王国の要望を入れた結果被害は拡大したのだしな。これについては事あるごとにネチネチと行こうじゃないか。王都にも聖都にも使えるカードだ」


 恰幅の良い、という表現では聊か物足りない体形をした年齢不詳の官僚。彼はどちらかというと実利優先らしい。


「しかし連中の誇る武装神官も役に立たなかった、というのは果たして良かったのか悪かったのか……」


 そして話題は中央神殿の武装神官に移る。


「武装神官というとな、どうや大聖堂の精鋭を連れて黒王の棺にちょっかいをかけて返り討ちにあったとかいう噂があるじゃろ」

「なんだそれは。ワシは初耳なんじゃが」

「お前はもう少し周囲に気を配った方が良いぞ。深夜とはいえ例の馬車で駆けておったというので、あちらではそれを見たものは結構おるらしい」

「そんな異国の噂話なんか知らん」


 不機嫌に返事を返す男と、それをなだめる男。


「まあまあ。それでな、武装神官以外にも何か切り札があったんじゃないか、という話だの。それが何かまではわからんが」

「それこそ国教会にでも調べさせればよかろう」


 王国と直接国交のないカルドにとってカルド国教会は王国との重要なパイプでもあり、また王都とは別の意志で動く聖都の動向を探るための要でもある。


「ふむ。まあ、何かはあったんじゃろうが……」


 それまでうつむいて話を聞くだけ聞いていた男が顔を上げた。


「何にしても、少し様子見かの」


 色々話はしたものの、結論は無難なところに落ち着いた。




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