113 冒険者として登録しましょう
俺も忘れそうになるが、サラは滑らかに動くこともできる。格好と顔色は独特だが、その程度なら多少奇異の目で見られたり警戒されることはあっても、街を普通に散策することも不可能ではない。
入街料を払ってサンテナン入りした俺たちは真っ先に冒険者の店に向かう。
冒険者の店というのは王国独自の所謂冒険者の互助会のようなものである。ここサンテナンにある本店のほか、いくつかの支店が国内各地と、わずかだが国外に散らばっている。ここで発行できる登録カードは小さな記憶領域を複数持ち、基本的な情報の閲覧と本人確認のみ可能な閲覧鍵は広く利用されているので、身分証としての利用価値はかなり高い。
「ではまずこちらに必要事項を……ご自分で記入できますか?必要なら手数料はかかりますがあちらのカウンターで代筆も可能です」
登録を申し出ると、申込用紙を人数分手渡された。みんな文字は書けるが、名前……名前ねえ。
「名前というのは、標準文字で書かなきゃいけないのか?」
「いえ、そんなことはないですよ。ただ、読み方を別途標準文字で教えていただく必要があります。署名には登録された文字を使っていただき、お呼びするときは標準文字のほうで呼ばせていただくようになりますが、どうしても意図した呼び方にならないことがあるのはご了承いただきたいです」
なるほどなー、ローマ字表記みたいなものか。海外の人に読んでもらうと思ってたのと違う読みになったりするんだよな。あと、ここの言葉で変な意味にならないといいけど。
「ではあちらで記入して、書き終わったらここにまた持ってきてください」
受付にいつまでもいても迷惑になるだろうから、素直に記入用の机に移動する少しだけ迷ったがやはり他に名前は浮かばなかったので、素直に“坂本雄太郎”と記入する。サラとイライザはそのまま書いたようだ。
「はい、確認しますね……内容に不備はありませんね。お名前はサカモト・ユータローさん。サカモトが家名ですね。他のお二人は……サラさんとイライザさん。お二人は標準文字なんですね。はい、大丈夫です。ここに書かれた内容はこのカードに埋め込まれた記録水晶片に書き込まれます。また、あなたの魔力紋を加工したものも記録されます。こちらの水晶球に手を置いてください……はい、大丈夫です。登録した本支店には複製が保管されますが、あくまで初期状態の複製でしかないので、基本的には無くしたら本人確認以外の情報は全て失われると思ってください。わざわざ登録したお店に来て再発行するぐらいなら最寄りの支店で新規発行した方が早いです」
一応台帳はあるけどあくまで念のためって感じなのかな、なるほど。魔力紋はかわらないって言ってたから最悪それで突き合わせたりはできるのかもしれない。
「では、サカモト・ユータローさん、サラさん、イライザさん。私たちはあなた方を歓迎します」




