ノート 一
【超級魔法】
魔法の奥義たる領域であり、人がその存在の位階を上げた事を示すもの。
本来は超常の存在達の技であったが、長い年月を掛けて人はそれを自らの手にすることができた。
発動には巨大な魔力構造と莫大な魔力が必要であり、それらの精密な制御も欠かす事ができない。
またその魔法のとてつもない巨大な規模故に、因果律の流れの影響をかなり強く受ける。
(イメージとしては超高層ビルが強風や地震の影響を、低層のビルよりも強く受ける感じ)
詠唱で魔法の構成を作る上級魔法以下のプロセスを用いると、完成までに受ける因果律の流れによって瓦解してしまう為、全てを無詠唱ですぐに終えなければならない。
故にとてつもない難易度を誇る魔法である。
上級以下の魔法とはその威力、効果において次元が違うが、使える者は英雄と呼ばれる者達の中にさえ極希にしかいない。
【清雷】
五手乃剣の第四手であり、顕心不殺の剣。
人を殺傷することなく、中に巣食う『悪しきもの』を払うことに真価がある。
魔法を散らし無効化する事ができるが、当然それは本来の使い方からは外れたものである。
この剣技を修める為には自分自身と向き合い、その心の奥底を直視する必要がある。
『心のイデアを知ることで剣のイデアを知り、人のイデアを知ることで剣は人を殺さず、刃は清浄に至る。以て活人の道を拓く』、と先生は言っていた。
五手乃剣で俺が一番苦手とする技であるが、逆に兄弟子だった人は一番得意としていたと聞いている。
【越界せし嘘骸の澱剣 ナナト】
特殊型の天顕魔法。
使用には人の生贄が必要。霊体などでも千年以上を経た、現世との繋がりが強いものであれば代用が可能である。ただしその場合は効果が弱くなり、発動時間が短くなるなどの影響が出る。
魔法が発動すると、高熱を発する莫大な量の泥が虚空より現れる。
泥は武器を溶かし魔法を呑み込んで無効化する。
効果範囲は大体ドーム球場位。
格下の敵や下位悪邪、霊体には圧倒的な威力を発揮する。
しかし俺と同格以上の敵、もしくは他の天顕魔法や運命巧式などの超兵器には殆ど効果がない。
またナナトの本領は泥から生み出される無数の剣にこそあるが、その力を使うには非常に多くの魔力が必要になる。
その為ペシエ以前では、使用した後に一週間意識を失うような有様だった。
今は気絶こそ無くなったが、使用後に倦怠感に襲われるし、俺だけの魔力ではあまりに足りない為、泥がかなりの数の敵を喰っていないと使用することができない。




