月の都:一の社内宝物殿奥書庫
【五手乃剣】
月の王に連なる裏の血族に伝えられた守護の技であり献身の行。
これを修める事を以て、神の徒となりその意を受ける資格を得る。
なお……により一族は絶え、最後の血はローナとホウキの一族に残るのみとなった。
第一手・纏放 …… 力を極める為の行。
※ベクトル操作? 見た目は魔法の『剣風刃』のようだが、習熟するとトリッキーな動きにも使えるようになった。カウンターにも使え、初見の相手にはよく決まる。
第二手・針通撃 …… 心眼を極める為の行。
※相手防御無効。極めれば一撃必殺。本質は心眼なので、結構習得が難しかった。
第三手・揺鐘 …… 森羅万象の彼我の別を掌握する為の行。
※カウンター。そして最強の防御技。剣も魔法もできるが、剣はまだしも、魔法は未だに黒焦げになる。あと喰った相手の力の扱いを誤ると文字通り爆死する。恐っ。
第四手・清雷 …… 悪しき異物を浄い滅する破邪顕正の行。
※呪詛を散らし悪霊や悪邪などを退けるものであり、元々は戦闘用のものではない。不殺の剣であり、この技で振るった剣は、相手を殺すことはない(先生が使った時は剣が相手の身体を見事に擦り抜けた)。第一~第三手の集大成でもあるので、それらが不十分だと技にならず、使った相手を殺してしまう。
第五手・水袷 …… 自他万物を合一へと高める為の行。
※魔力を高める技だが、扱いが難しく、下手したら自爆してしまう。先生曰く、この技の先には『完全なるもの』があるらしい。
※第六手・理念自在の縁起 …… 第五手より派生。習熟が浅いと自然魔力を直接操るものになる。この技の本来は、→以下黒く塗り潰されている。
『※』は誰かが書き加えたもの
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【魔月奇糸団】
魔月グロリアによって招かれた者達。
その最高位には十三の席があり、団長である魔月グロリアを『境界の翼』、他の者達を『黒翼』と呼ぶ。
黒翼のそれぞれが人の領域を遥かに超越した力を持ち、組織の根は表裏の世界に張り巡らされ国際社会に大きな影響力を持つ。
メディア大手の『MCP社』と国際マフィア『盃』が魔月奇糸団の関係であることは、表裏の社会の極一部では知られている。
大手商社である『魔月商会』も魔月奇糸団に関係しているが、軍事関係において『魔月』をその商号に付けるものはそれ程珍しくはない為、魔月奇糸団に関連付ける者はほぼいない(魔月商会の隠蔽は特に徹底されているのもある)。
シンボルは『白金の糸を纏い十二の翼を持つ黒い月』。
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【魔月】
一般的には魔法の守護者として語られる伝説の存在。
古い物語には様々な形で登場し、時に人を助け、時に人を欺く魔女の姿で描かれることが多い。
正邪に関係なく勝利へと導く者でもあり、それ故に戦において加護を与える者として広く一般に信仰されている。
多くは架空の創作物であるが、しかし魔月を想起させる事象の痕跡は幾つか残っており、その真偽や存在を論じる好事家や研究者は多い。
現代で有力に論じられているのは、政治もしくは宗教等の事情により秘された一族、或いは異端の精霊という説である。
なお、ヤーラータ連邦の首都ゲンベスタにある連邦立ゲンベスタ大学には、その遺物と呼ばれる物が保管されている。