おや、第一王子の様子が…?
第二王子のアデュランは帰りに悪態をつき、アヴェールの元を訪れていた。
「もうだめかもしれない。魔王を可愛いと思ってしまった」
「は?」
アヴェールも何を言ってるかわからなかった。
第二王子は魔王を敵視しているのはわかっていたし、いつかこっぴどくやられるだろうなとは思っていたがこの結果は予想外だった。
アヴェールは思考停止する頭をなんとか稼働させる。
「可愛い?」
「あれはだめだ。不覚だ……」
可愛かったと連呼する第二王子。それをアヴェールは別の意味で大丈夫かと思っている。
「これが初めてってわけでもなかったでしょうに」
「前回は……その、なんというか、頭に血が上っていて盲目だった。冷静に眺めていると……まぁ」
「……はぁ」
「どうしたらいい? 俺としてはつきあいた……仲良くしたいのだが」
「もう勝手にしたらいいんじゃないですか?」
「その勝手がわからんのだ!」
第二王子は嘆く。
「謝ったら今までの事許してくれるだろうか」
「許されないことしてきてるじゃないですかあなた」
「ぐっ……。だよな。どうしてバカなことをしていたんだ俺は」
そう嘆いていると。
第一王子が迎えにやってきた。どうやらアヴェールが使いを出していたらしく、回収してくれという願いが書かれていたんだろう。
第一王子のレオン……がやってくると目を見開いていた。
「こう、使い物にならなくなってしまって」
「なにがあったんだ」
「レオン。魔王様が可愛かったんだ」
「は?」
これにはレオンもびっくり。
アデュランは今まで魔王と魔王軍を敵視ししていた。だがしかし、今日突然訪問して、惚れて帰ってくるってなにかあったのか?
「媚薬でも飲まされたのか?」
「あっちでは何も飲食していない」
「じゃあなぜそんなことを……」
「兄上が言っていたこと理解しましたよ。これからは魔王と仲良くします!」
「人は変わるもんだな」
「え、えぇ」
アヴェールはため息をついて、魔王城に向かうことを決めた。
☆ ★ ☆ ★
第二王子が帰り、コピーを解く。
いきなり帰っていった王子。結構暴れまわるかと思っていたけれど。そう思っていると今度はまたお客さんがやってきた。アヴェールだった。
また計画でも練りに第二王子が訪れたんだろうと思っていると。思わぬ報告を受けることになる。
「その、第二王子が突然うちにきてですね、魔王が可愛かった、なんていうんですが」
「は?」
「その、惚れたらしくなかよくしたいといっておりましたというか」
「は???」
意味が分からない。
剣を突きつけられて惚れるとはどういうことだよ。頭おかしいんじゃねえの? いや、惚れたんなら別に手を出さないけどさ……。えぇ……。
なんか力が抜けていくのが分かった。
「嘘……てわけじゃなさそうだもんね」
「私たちの前で惚れたというぐらいですから」
「……はぁ」
「ため息、つきたいきもちはわかりますよ」
「なんで惚れちゃうかなぁ……。手を出しにくいじゃん…。これあれだよ? 多分魔王の名前出していったら逆に王城に快く迎え入れられちゃうパターンだよ?」
「ですよね」
逆にどうしたらいいかわかんねえよ……。
「「はぁ…」」
可愛いから仕方ないね




