三人のプレイヤー
なんとか向こうの岸辺まで戻ると、ワグマたちが詰め寄ってきた。
そして、仲間にしたことを伝えるとため息をついている。そして、仕方ないというように別の敵を狩ると指令が飛んだ。
で、今現在。
「あはは! この子に任せたら経験値めっちゃ入るじゃない!」
「モォォォ!」
ミノタウロスさん無双中。
そのでかい図体で攻撃力があって素早い。
棍棒にさえ当たれば基本この森のモンスターはワンパンに等しかった。多分ボスみたいなものだったんだろうな。このミノタウロス。
その棍棒を振り下ろし、薙ぎ払い、あまたの敵たちを蹂躙していると、いつしかレベルは10近くになっていた。
結構狩った気がするな。魔王と呼ぶにはまだまだレベルは足りないが、これなら……。というか、その前にやることはやっぱりいろいろとあるよなぁ。
私はミノタウロスの背にのっかりながらこれからやるべきことを考えていた。
魔王国を作るにあたって生産職は必要だ。それも複数人。
そのプレイヤーの知り合いを見つけたいが……。まぁいざとなったら私が鍛冶やるとしようかなぁ。なんて思っていると。
私たちの目の前に、三人のプレイヤーが剣をもって現れたのだった。
「やいミノタウロス! そいつらを離せ!」
「……あー」
「パンドラ。私たち囚われの姫君に思われてるわよ」
らしいな。
ぶるぶる震えているプレイヤー。ミノタウロスは私にどうするか聞いてくるような目を向ける。まぁ、なるべくPKはしたくないしな。
無視していいよ、話し合うからと伝えるとミノタウロスは一歩下がる。
私は、ミノタウロスから降りてそのプレイヤーに話しかけた。
「いやー、驚かせました? 実はあれ、テイムモンスターなんですよ」
「テイムモンスター? そ、そんなのあるのか?」
「はい。知能があるモンスターならテイムできるんです。それでテイムした仲間なのでそんな怯えなくて大丈夫ですよ」
そういうと「早とちりしてすいません」と謝ってくる。
そして、フレンドカードも成り行きで交換することになった。名前は、茶髪の男の子がアニマ、真紅の髪色をしているのがハイドレンジア、そして青い髪の女性がラピスラズリ。
なかなかかっこいい名前をしているな。
「パンドラさんの種族はダークエルフなんですね」
「まぁね」
この子たちのフレンドカードを見てみる。
アニマが人間、ハイドレンジアが魔人、ラピスラズリが妖精という種族を選んでいた。ふむ、魔王軍にはいいな。
だけれどまだ土台出来てないし勧誘はやめておくけれど。
「パンドラさんはこのゲームで何をするつもりですか?」
「……それ聞きたい? 結構大事なことするつもりだから代償はもらうよ?」
「いえ! やっぱいいです!」
「よろしい。でもまぁ、しいて言うなら……国を作ることかな」
「国づくりですか! それはすごいです! 僕たちも協力できることがあったら呼んでくださいね!」
「わかった」
戦力というか、使える手駒は確保。
見ず知らずの人に協力するって言っちゃうあたり純粋だと思う。裏を読もうとしない。そもそも、ダークエルフが人間側につけるわけないと思う。
それを考えない辺り…まぁ、純粋なのはまあいいだろう。
「それじゃ、私やることあるから。じゃあね」
「はい!」
私はその子たちと別れたのだった。