車の中
お姉ちゃんが運転する車に乗る。
「それにしてもでっかくなったわね。ムカつくくらいに」
「…………」
「なんで会いにこないのよ。今か今かと昔から待ってたのよ。会いに来てくれてもいいじゃない」
「面倒だったから……」
「そんなんだから友達出来ないのよ」
いや、友達はいるし。少ないけど。
「お姉ちゃんも立派になっちゃって……。何の仕事してるの?」
「町のほうで事務職してるわよ。今日は休みだからせっかく迎えに来てあげたのよ」
「あ、ありがとうございます……」
なんていうか、滅茶苦茶離れていたから距離感が掴みにくいっていうか。どういう風に接したらいいかがわからない。
で、後ろにもさっきの二人が乗っている。
「お姉さん東京から来たの?」
「うーん。まぁ」
「そうなの! 都会から見たらなにもないでしょ? 田んぼしかないでしょ?」
「それもそれでいいと思うよ」
この好奇心旺盛な子。めちゃくちゃ元気だ。
「都会っ子は珍しいからみんな注目するよ! いつまでいるの?」
「夏休みの間はこっちにいるかな」
「へぇ!」
「でも家でゲームしてることのほうが多いと思うけど」
「ええー! ゲーム持ってるの? いいなぁー」
ゲームがそんなに珍しいだろうか。
ゲームが世界的に普及している時代。ファミコ〇という古い据え置き機でもあるようなものだと思うけど。それもないのかな。
「あんたゲーム持ってるの?」
「そりゃあ」
「どんなやつ? ぶよぶよ?」
「どこから止まってるの……。VRなんだけど」
「あんた叔父さんにそんなん買ってもらってんの?」
「いや、友達に」
フルダイブ型VRMMOというのはここでは珍しいかもしれない。
ゲーム業界は今やVRが主流とは言え、ヘッドギアは安いとは言えない代物だ。迂闊に手を出すことができないものであり、一般市民は買うのをためらう値段をする。
技術の塊みたいなものだからそれは仕方ないことなのかもしれないが。
「あんた友達に大金払わせてんの?」
「金持ちの友達いて払ってくれるっていうから」
「あんたねぇ……」
「そ、その分なんか返すよ」
「そうよ。借りたままというのはダメよ」
それは私もわかってる。
借りたままというのはなんていうか不安が残るしな。月乃だから返さなくてもいいとは言うと思うけど、それじゃあこちらの気が済まないのだ。
「でも、あんたに友達出来たんだ」
「まぁ、いろいろあってね」
「こんな色物の友達って苦労しそうね」
「色物じゃねえし」
誰が色物だ。
「でもあんた。クマすっごいわねぇ。昔はなかったでしょ」
「うん。あの時から出たんだけどね。今だに治らないんだよ」
これもこれで私のチャームポイントかなと思っていたり。
「さて、ついたわよ」
お姉ちゃんが車を止めた。




