ライアの魔王城来訪
着物を着てお尻の方には尻尾が九つ生えた和風美人、目もとがちょっと赤い隈があるライア。ええ、人になれんの。
「見た目すっごい美人ね…」
「ありがとうございます!」
尻尾を振ってワグマに近づいているライア。
「そもそもなんで私たちを襲ったの?」
この船自体は元々私たちが所有していたものだ。
というのも、数日前に人魚の国に行きたいなって言う話はしていたから船を購入し、海溝に向かうように港に置いていたのだが…。
襲われる理由が分からん。
「えっと、港の方で潮風に当たりながら昼寝したいなって思って船に乗ったら出港してしまってむかついたから…」
「…」
単なる偶然かよ。
要するに昼寝の為に乗ったら出港して戻れなくなっちゃってムカついたから私たちにたいして攻撃を仕掛けてきたということだ。なんつー身勝手な…。
といっても、私たちもよく船内を確認しないで出港したのもいけないんだけど…。
「ごめんなさい!」
「もういいわ。それより、あなたどうするの? 私たちは人魚の国にいくつもりだけどついてこれる?」
「み、水の中は勘弁です! 泳げません!」
「なら戻るか…」
「それなんですけど…」
と、話しづらいような感じだった。
嫌な予感がする。私は動力室を見に行くと見事に壊されていた。物理的に止めたから動かなくなったんだろう。
これを修理するのは私はできないぞ。
私の後ろで二人もあーという声を出した。
私はライアの胸倉を掴む。
「おい、どうしてくれんだよ。私に引っ張っていけってかオイこら」
「ひいいいい!?」
「本当にどうするのよ。もう海溝近いし泳いでいくのも無理じゃない」
ライアは困ったように視線を泳がす。
「幽霊船みたいな幻影は作れないの? あれに乗れたんなら乗れるでしょ」
「その手がありました! では幻影を作りますね!」
甲板にあがり、ライアは幻影を作った。この船にそっくりな船が隣にあったのだった。私たちはそれにのっかり、陸に戻ることにした。
陸に戻り、私は笛を吹く。
「ガァ!」
と、上空にとてもでかくなったモルが現れた。モルを見て、九尾はビビっている。モルは地面に足をつけ、私はモルをなでてやるとモルは嬉しそうに目を細めた。
九尾は、腰を抜かしていた。
「あ、ああ、あの、こ、ここ、この魔物はッ…」
「私のテイムしたモンスターだよ。ロブストイーグル。Sランクの魔物で名前はモル」
「そ、そそ、そうなんですね。同じSランクどうしよろしくお願い…」
「ガァ!」
「ひい!?」
「よろしくだってさ」
私はモルの背にまたがる。
「ほら、ライア。乗りなよ」
「の、乗れるんですか?」
「この大きさなら四人まで余裕だよ。マジででかいし」
翼をたたんで地面に立っただけでも私の二倍くらいは身長があった。大人化した私の二倍くらいということだから本当にでかい。
私たちはモルの背にまたがると、モルはその大きな翼を広げ、空を飛ぶ。
「うひゃああああ!? 高いですうううう!」
「やっぱ気持ちいいわね。あ、あれが魔王城よ。あまり距離離れてないけどあそこに私たちは住んでるの」
「ひいいい!?」
「聞こえてないぞ」
どうやら高いところがだめらしい。
魔王城の目の前につき、私たちは地面に降りた。
「さて、と。人魚の国に行くつもりだけどまた船買いなおすわね…」
「いや、私が明日カイハ連れてあの船直しに行くよ」
「ああ、その手があるわね。じゃあ頼むわ」
私は書庫に戻ってログアウトしたのだった。




