肉体こそ我がすべてなり? ①
翌日に、ゲームにログインした。
挑戦者はほとんどこないが…。まあ、仕方ないだろうと思いつつ、今日がイベント最終日だよなと思っていた。
こんながらんとしてていいのだろうか。いや、結構な頻度で侵入者ですという警報は聞こえるのだが…。辿り着けているものはいない。
「イベントの終わりまで誰も来ないといいんだけどねえ」
そうぼやいていると、突然扉が開かれる。
二人組だった。だが、その顔は見知っている。いや、因縁深いというかなんというか。私の目の前には、ビャクロ、そしてタケミカヅチがいた。
私は玉座に座りながらやっぱり来たかと思いつつ、見下している。
「なっ…パンドラ?」
「よぅ。やっぱ来ると思ってたよ。ビャクロはともかく、タケミカヅチはさ」
「俺もうすうす感じてたけど…パンドラさんが王…」
「ここまでくると因縁深いし、何より、ビャクロと私が本気で戦うって初めてじゃないかな」
隣に立つワグマもため息を吐いている。
「ここまでくると運命の糸で結ばれてるって思うよね。なんでタケミカヅチは私とそこまで戦いたいんだろうね」
「…」
「ま、いいさ。やるか」
私は立ちあがる。ワグマも大剣を構えた。
「お互い一対一でやろう。いいな?」
「ああ。私はいいぞ。どちらが私の相手だ?」
ワグマと私を見てビャクロが自信満々に尋ねる。
「私は無理よ、ビャクロなんて」
「じゃ、私か…」
ビャクロ相手はきっついんだよなぁ。
動きは読めるけど読んだところでってことだ。読んだところですぐに反応して攻撃してくる。先読みしても意味がない。
ビャクロは、拳を構えていた。
「ビャクロさん、気を付けてね! 何してくるかわからないから」
「わかってる! 何年一緒にいると思ってるんだ。それぐらいは理解している。だが、卑怯な手も姑息な手も来い! 相手になってやる!」
と、一瞬だった。ビャクロが私の懐に潜り込んでくる。グローブを嵌めている。私に物理攻撃が効くようになるグローブだ。
まずい。白露の攻撃は一度食らうだけでもやられる可能性が高いっ…! 私は咄嗟に足下に氷を作ると、ビャクロは勢いよく転んだ。
「ビャクロ目の前に油断はできんな…」
「転ばせただけで私が怯むわけがないだろう。パンドラも何年も一緒にいるからわかってるだろう?」
「わかってる!」
私はイベントリからアイテムを取り出す。そして魔王の遺産である弓を取り出し、あるものを矢につけて発射する。
矢は勢いよく飛んでいったが、大きく軌道がそれた。その軌道を見てビャクロはなにやら不審がっている。が…。
「外したな!」
「ちっ、当てられると思ったのに。もう一発ゥ!」
弦を引き絞り、狙いを込める。狙いはタケミカヅチだ。弦を引き絞り放つと、タケミカヅチめがけて矢が飛んでいったのだった。
章のボスですぜええええ!




