アストラ商会の破壊。それはもう再生は不可能
剣を構えたお腹がでっぷりと出た狸親父。
「なぜ私の商売を妨害するエルフ!」
「気に食わないから」
「関係ないだろう!」
「あるよ? 詐欺まがいなことしてるとこって私許せないの」
「そんなことはしていない!」
「じゃあ薬がないのに薬を売ろうって大金を要求する?」
そういうと心当たりがあるのかうっと黙り込む。
薬はやっぱないんだ。そらそうだ。私たちが独占している。むしろ持っているほうがおかしいのだ。魔王領ができたのは知っているだろうし。
「だまれ! 私は魔王と繋がっているのだぞ! 私が死んだら……!」
「魔王が来るって? バカだろあんた」
「なっ……!」
「あんたが死んで魔王がくるわけないでしょ? だってあんた面識ないじゃん。口から出まかせもほどほどにしなよ?」
「嘘ではない! 私が死んだら魔王が……!」
「来ないよ。それに、私も自己紹介するけどそれ聞いたらもうそんなこと言えないよ?」
「じ、自己紹介?」
「改めまして、魔王軍幹部のパンドラです。魔王様とは古くからの知り合いですよ」
そういうとますます顔を青ざめた。
自分を不利にする嘘はよくないと思うな。そもそも、魔王と繋がってるのが本当だとしても罰せられるべきだろう。敵と内通しているということは国にとって不利なんだからさ。
脅すために言ったんだろうけど魔王軍はあんたと面識はないからね。
「魔王軍である私が魔王様に殺されるの? そもそも魔王城にあんたがきたこと、私知らないけど?」
「それは……」
「今の魔王領は魔王軍の許可なしには入れない。薬を独占しているからね」
「なっ」
「それで薬があるだなんて笑っちゃうよね。独占しているのに薬があるわけないでしょって」
「う、うわあああ!」
と、狸親父は剣で斬りかかってくる。
素人か。躱すのも容易だった。剣を躱すと、剣がドアを切って、剣がはさまっていた。剣を引き抜こうとしているけれど、抜けない様子。
私は、ナイフを突きつける。
「はい死んだ。素人が戦いに手を出すなよ」
「くそくそくそ! なんでわしの邪魔をする! 魔王軍には関係ないだろう!」
「関係? たしかにないよ。被害にもあってないし」
「だったらなぜ!」
「最初に言ったでしょ? 気に食わないって。気に食わないから潰すだけだよ?」
私は、ナイフで首を掻っ切った。
血が吹き出す。そして、私のほうを振り向いて、首を掴むが、そのまま倒れこむ。返り血が私についたのだった。
アストラ子爵は死んだ。一族を殺すのも面倒だ。これでアストラ商会は大きく力をそがれただろう。たとえ妻が経営したとしてももう虫の息だ。従業員もほとんど死んだ。
私は、そのまま商会を後にして魔王城に戻ることにした。




