心のダンジョン
王というのはこれを守るんだろうけど…。でも、なんか違和感がある。何でこれを守らなくちゃならないのか。
奪われたらイケナイもんならなぜこの世界にあるのかも疑問がある。
「それにこの迷路…。複雑すぎる」
まるで迷わせるような感じで作られすぎじゃないだろうか。クリアさせる気はあるのか? 私たちは歩いていても一向に出口につきそうな気配はない。
マッピングもしつつ進んではいるが…。それでもこの迷路はとても複雑で、長い。
「この世界、なんかおかしくねーか? いや、なんだかこの迷路、人の心を現してるような感じがするんだ」
「人の心?」
「誰かの人の心…。その人の心の中の状態がこの迷路を構成しているっぽいぜ」
「となるとこの複雑な迷路って…」
私の心の中、かもしれないということだ。
私の心の中てこんな複雑なの? 面倒くさがりだからこういうの一本の道じゃないの? 心の中まではそうもいかないってか。
うーん、心の中を覗かれたみたいでちょっと複雑だが…。
『侵入者! 侵入者! 直ちに排除いたします!』
という声が響き渡る。遠くで銃声が聞こえた気がした。
どうやら侵入を許さないらしい。クリアさせる気すらない長い迷路なのに侵入禁止とか舐めてんの? どうやってクリアさせる気だよ。
いや、これも私の心の中が原因か? となると、元凶は私…。私の心の中はどうやらクソゲーらしい。
「でもこれが私の心の中を模して作った迷路なら誰も通さないってわけがない」
月乃や白露は絶対通れるし、あの気に食わないタケミカヅチももしかしたら通れるかもしれない。私の心は親しくない人を拒むようだから…。
自覚はあまりなかったけど結構人を拒むんだな。
「それに、この壁かてえ…。本人の心が相当強いんだろう」
「…うん」
「だが壊されたのもある…。一度全部壊されている感じがあるな」
「そだね…」
私自慢じゃないけどメンタルは鋼より強いからね…。それに、壊れていた形跡があるのは小学三年生の時の両親の自殺のときだ。あの時だけはメンタルがズタボロになってずっと勉強に打ち込んでいた。このメンタルを作ったのは月乃とかかわってからだろうな。月乃のおかげで前向きになってメンタルが回復して強化されたっつーか、鋼でコーティングされて、その上にオリハルコンを重ねた感じっつーか。
「人の心を現しているダンジョン、か。これが自分のじゃなきゃ面白かったんだけどなぁ…」
「これ、パンドラのなのか?」
「このダンジョンは私が王になって生まれたもんだしその可能性が高いんじゃないかな。私の心を読んで自動的に作られたって感じがする」
「…心の中複雑なんだな、お前も…。いつもその、飄々としているからよォ…。こんなイメージなかったぜ」
と素直に驚かれた。
私自身もこんな複雑だとは思ってなかったよ。私は自分に無頓着すぎるってことかもしれないな…。




