悲鳴の音が聞こえない ②
ドラゴンの足下に来ると、七人が戦っていた。紛れもなくあの大地の勇者だ。
ドラゴンを必死に食い止めてはいるが、苦戦している様子。自分たち以外は戦えない、自分たちが負けたら終わるというつもりなのだろうか、妙に必死さを感じられる。
「レブルは来てねえのか…」
まあいいさ。
私たちはパトカーから降りると、パトカーがドラゴンによって踏みつぶされた。あっぶねー。外に出てなかったら死んでたよ。いや、死んでないけど。
私はとりあえずスキルを使う。天国スキルを。
「ワグマ、ビャクロ。ダメージを十分間受けないぞ! 今のうちにぼこれ!」
「了解!」
「わかったわ!」
ワグマが大剣をもって走る。
ビャクロは素早い走りで懐に潜り込み、まずは胸のあたりに昇竜拳を食らわせていた。一応言っとくがあれはスキル使ってない。昇竜拳のスキルはない。
ビャクロのパンチでドラゴンがのけぞった。そして、悲鳴を上げるかのように叫ぶ。
「うるさっ!」
その音量はあまりにもうるさくて。思わず耳を塞ぐ。
「私も負けてらんないっての! うおおおおりゃあああああ!」
と、ワグマが持っていた大剣を思いっ切りぶん投げた。
ぶん投げた大剣は弧を描いて飛んでいく。そして、ドラゴンの首元に刺さるのだった。刺さった大剣は深く刺さっていた。
「そしてえ! 引き寄せる!」
大剣に細い紐みたいなのがついていた。
それを引っ張り、どうやら収縮するタイプのようでワグマの体がドラゴンの体に引っ張られていく。大剣の上に着地すると、ワグマは力を込めて大剣を引き抜いていた。
あの武器すげーな。
感心してる場合じゃない。私も戦わないとなぁ。でも、お世辞にも戦いの実力じゃ二人に勝てるとは思わない。
純粋な実力だけじゃね。魔物相手には純粋な実力で勝負するしかないのがつらい。魔物は喋らないし、行動も読めないのばかりが多いから罠とかはれるのがすくない。駆け引きができないってのが一番の難点だ。
「とりあえずよく観察して弱点でも探っておくか…」
弱点というのは誰にでも存在する。
大型モンスターは弱点を隠したがる傾向がある。そりゃそこを攻撃されたら痛手となるから防御していないとダメだろうに。
で、あのドラゴンの弱点。ふーむ。喉、だな。
「ワグマ! ビャクロ! 喉を狙え!」
「喉ォ!? わかったぁ!」
「私がまず攻撃するわ!」
ワグマが大剣を突き刺した。
ドラゴンは喉に攻撃を受けたことでびびったのか、急に暴れだしていた。振り払おうという魂胆だだろう。
喉が弱点! 声を出すのは喉だもんな! 声で攻撃するなら声を潰されるのが怖いんだろう。
「喉が弱点のようね」
「そうか、なら」
ビャクロはスキルを使って高く飛び上がった。そして、空中を蹴って喉にドロップキック。なにあの二段ジャンプ…。ビャクロ二段ジャンプなんて芸当できるの?
ドラゴンに大きなダメージが入ったらしい。そして、叫ぶことがなくなった。というのも、喉がつぶれたのだろう。声が出せないらしい。
「よし、まずは声を封じた!」
「このまま体力をそいで倒すわよ!」
「ああ! 任せとけ!」
ドラゴンは悲鳴を上げれない。
断末魔が聞きたいということもあったが、絶望に打ちひしがれて死んでいくのもなかなかのものだ。




