王都を案内
ニホン国の王都。
二人は辺りを見渡していた。剣を持った人を見て凝視していたり、屋台の食べ物に興味津々だったり。
「日本じゃあの剣の長さは違法だし衛生法とか大丈夫なのか…?」
「ここ銃刀法違反とかないし…。それに、魔物と相手するときナイフだと分が悪いでしょ…」
「それもそうなんだが…」
日本の常識に当てはめて考えてはダメなんだよ。
何もかも常識が違う。ここでは銃刀法違反もなければ道路交通法というのもない。いや、道路交通法はなくて当たり前なんだけどね。
だから無法地帯って思うかもしれないが意外とそうでもない。
「一応法律みたいなものがあるからそれほどマシかな」
「法律はあるのか」
「そりゃルールを設けるのは大事だしね」
「ルールって厳しいから嫌なんだよねー。あれしちゃダメとかこれしちゃダメとか」
と、空知がぼやいている。
そういってるのはまだ甘いのだ。
「ルールは人を縛るけどそれと同時に守りもするんだぞ。人を殺しちゃいけないっていう法律が無かったら自分の肉親が殺されても何も言えないんだよ」
「うっ」
「これはパンドラの言う通りだな。おじさんもそう思ってる。最近じゃ、腐った警察官も多いが警察官の多くは守る、守らせるために動いているんだぜ」
「ううっ」
言われたのが悔しいのかうなだれていた。
「そういえばなんだかこの国じゃお金はなんだ? 円か?」
「円っちゃ円なんだけどそっちのお金は使えないよ。こっちにはそっちの世界の名前の人はまずいないし。それに、紙幣じゃない」
私は金貨を手渡す。
「金貨一枚で一万円だ」
「なるほど。こっちには造幣の技術はなさそうだからな。硬貨だけっていうのもうなずける」
「でも持ち歩くにはちょっと不便だよねー。重いし」
「だからこそこっちの世界じゃ魔道具の財布があるんだ」
私もそれに金をいれている。
がま口タイプ。私自身長財布はあまり好んで使わないし、折り財布をよく使っている。というのも、ポケットに入れやすいから。
ぽっけに入れる時点で結構危ないが、すぐに出し入れできるのは便利。
「これ一つに一兆ぐらいは入れれるぐらいには容量がある。ま、そこまで貯めるのは結構きついし半永久的に使えるかな」
「べ、便利だな…」
「でしょ? 持ち運ぶもラクチン」
私はがま口を開けお金を取り出して屋台の焼き鳥を買う。焼き鳥の味付けは何が好みか。私はタレ。ご飯に乗せて食べると超うまい。
三人分買い、一人一本ずつ渡す。
「焼き鳥はあるのか」
「もともとこの国は日本人が建てたからその文化が多少なりとも継承されてるって感じかな。あー、このタレうまっ。ご飯に乗せて食べてー」
「ビールが進みそうな味だな…。美味い」
「おっさん臭いよ刑事さん…」
「おっさんだからな」
焼き鳥丼っていうのも美味いんだよな。
「この味は日本でも再現できそうだな。警察官首になったら焼き鳥屋でもやるか?」
「おっさん料理できるの?」
「当たり前だ。大人なめんな」
「…いや、うちの母さんとかまるっきり料理できないからすごいなって」
と、空知は笑う。
日下部ともだいぶ打ち解けてきたようだな。
「今日は中途半端な時間で来たからあれだけど明日はとりあえず貴族街でも案内する?」
「貴族はやっぱいるんだ…。関わると面倒だからいいや」
「そう?」
「とりあえず今晩の寝床だけ用意してもらいたい。できるか?」
「魔王城にたくさん部屋残ってるからいいよ」
あんだけ部屋数あっても多すぎるだろうに。




