魔物を食べると…
この二人が異世界に来れた。
となると逆もしかりであそこを通れば元の世界に戻れるはず。
「なんつーか、いろいろと俺たちがいた日本を基準にしてると頭おかしくなるなこりゃあ…」
「に、二回目だけどアンデッドだけはどうも無理…」
と、二人が目を覚ましてそうぼやいていた。
「おう、目が覚めたかよ」
「…ああ。すまなかった。年甲斐もなく気を失って…。って、お前は誰だ?」
「あん? ああ、俺様はカイハ。見ての通り発明家だぜ。今飯作り終わるからまってなよ」
と、フライパンで何かをジュージュー焼いていた。肉の類だろうか。
いいにおいが漂ってくる。肉が焼ける匂い。それに、焦げた醤油の匂い。焦がし醤油…。なかなか通なたれを作るなカイハ…。
いいにおいだなぁ。
「ほれ、出来たぜ! ただ肉を焼いただけなんだけどな!」
と、二人の目の前にステーキが出されるのだった。
「これ、何の肉だ?」
「あん? 普通の牛の肉だぜ? 魔王城の裏に生息してる」
「え? 生息してたの?」
「違うのか? ビャクロが仕留めてきたっつーから普通の牛だろ」
「ビャクロが仕留めて来た時点でちょっと疑問に思えよ…」
十中八九魔物の肉だろうな。いや、食べれるからいいだろうけどさ。
二人は訝しく思いながらも、肉をナイフで切り、口に運んでいた。
「……!」
と、その瞬間、二人の体から魔力を感じた。
魔力がもともとない二人だったが、魔力をもらったことでどうやら魔力を手にしたようだ。特に日下部さんのほうから強い魔力を感じ、なんつーかすこし若返っている。
なんつーか、渋いおっさんみたいな顔つきになったっつーか。
「なんだこれ…。なんか得体のしれない感覚があるぞ…?」
「魔力がない人間が魔物を食べるとこうなるのか…」
「俺様なんか悪いことしたのか?」
「悪いことじゃないと思うけど…」
新しい発見だ。
空知は異世界に一度来たことがあるのになぜ魔力を持ってなかったか疑問があるが、まあそれはおいておいて。
「な、なんだ? 魔力? これは魔力なのか?」
「そうだよ。魔法が使えるんじゃないかなもう」
「ふぁ、ファイアー!」
と、空知が言うと、手の先から火の玉がでて、カイハの発明品に当たった。カイハは若干青ざめている。
「おい! ここで魔法を放つな! あれはまだ試作品! 熱にもそんな強くねえ!」
「…カイハさん?」
「あああああ! まずい! 今すぐ逃げろ!」
と、ファイアーが当たった発明品がなにやらぐらぐら揺れている。
なるほど、そういうことか! そういうオチかよ! 私は水でバリアを張った。戸惑っている二人をカイハが掴み、私は最後に出て扉を閉める。
そして、爆発音が魔王城に響き渡った…。
爆発オチなんてサイテー!!




