感染症への対策
数十分後、パライゾが窓から入ってくる。
「王国ではたしかに似たような症状が流行っていたが何なんだ?」
「あー……」
「王都はまだだったようだけど周辺の村はひどく倒れていたな」
「周辺も見てきたの? 時間あったねよく」
「ふっ。私を誰だと思っている? 吸血鬼だぞ」
それあまり関係ないような。
ふーむ。病気の発生源は……あの男だ。あの魔王軍志望者の男だろう。あれは王都から来たわけじゃなく村から来たと言った。あの男にはすでに潜伏していたんだろうな。
余計なことしかしないやつだ……!
「しょうがない。今ビャクロもやってるけどパライゾもメピウスの葉をできるだけとってきて」
「は? 私がか?」
「うん。というか、パライゾにもすでに感染してる危険がある。さっさととってきて薬作るから」
「わかった」
「なるべくたくさんね。王都にも周辺の村にも売れるように」
「……人間は見放しておけばいいだろうに」
「メピウスの葉を求めてたくさん入ってきたら面倒だし、金策になるからね」
あとはタケミカヅチくんたちにも情報を求めよう。
新聞とかあったら便利なんだけどな。
「ねえ! サユリとエリザベスが倒れたって聞いたんだけど!」
「あ、ワグマ。遅かったね。今手を打ってる最中」
「なんで私に相談しないの!? 私も手伝うわよ?」
「魔王は緊急時以外はあまり動くべきじゃないからなぁ」
「緊急時でしょうが!」
そういわれればそうなんだけど……。
でも、国として考えてみるとたかだか二人の為に王が動くというのは変な気がするのだ。今はというか、住んでいる人たちが私たちだけだしいいかもしれないけど……。あまり王が動くというのは……。
……ま、いっか。
「で、私は何をすればいいの?」
「とりあえず……患者の様子見。この感染症……フルールク感染症はとても死にやすい。エルフとかならまだしもエリザベスはもともと人間だ。人間の体だからすぐに死ぬだろう。人間は一週間以内に死ぬと言っている。だから……まぁ、死なないように看病を頼む」
「薬はいいの?」
「材料はビャクロとパライゾが取りに行ってる。というか、やれることがそれぐらいしかない」
私は私でちょっとやることあるし。
主産地は魔の森。つまり冒険者は危険を顧みずに薬草をとりに来るはずなんだ。魔の森を私たちが独占しているから。
だからこそ、警備を行き渡らせる必要がある。ここはもう私たちの国だ。無断で入ってくるのは許さない。
「さーてと。残りの賢者を探してくるか」
エディット、フォレトス、サルタン、アガルギルド。
エディットは魔王城の庭の井戸の部分で水浴びをしていた。どばーっと頭から冷たい井戸水をかぶっている。
ぽたぽたと雫が垂れていった。
「おや、パンドラ様? どうしたので?」
「エディット。森の警備をお願いしたい。なるべく人いれないようにね」
「かしこまりました」
「あと、フォレトス、サルタン、アガルギルドはどこにいるかわかる?」
「フォレトスは森を見回ってくると。サルタンは屋上でぐっすりお眠りタイム、アガルギルドは城を徘徊しているかと」
「わかった」
フォレトスは気づいたのかな。多分。
なら説明はいい。サルタンとアガルギルドのところにいかなくちゃな……。アガルギルドはエンカウントできるかなぁ……。場所が曖昧過ぎるぜ……。




