青山霊園の穴の封鎖
青山霊園に入ると、一気に空気が変わった。
ひんやりとした空気。背後に気配を感じる…。
「魔力を感じない…?」
おかしい。
異世界へとつながる穴があるのなら魔力は感じるはず。行方不明者がここらへんで増加してることを見るに異世界へとつながる穴があるとみて間違いないはずなのに…。
だが、魔力を感じないことで立てれる仮説もあるっちゃあるがその通りなのだろうか。
その仮説はただただ一方通行だということだ。
異世界から来る穴と異世界へ行く穴はそれぞれ一方通行であり、行く穴なら行くことしかできず、来る穴なら来ることしかできない…。そういう仮説を立てた。
穴から感じる魔力というのは異世界の魔力であり、地球には魔力がないがために行く穴からは魔力を感じない…。そういうことなのか?
魔力が感じない理由はそれだと見て間違いはないのかもしれない。だとすると探すのは骨が折れる。
「どうやって探したもんかね…」
魔力がないのなら在りかが分からない。
いや、魔力が移動するってことはもしかしたら空気も移動する…空気も送られるんじゃないか? 空気が移動するってことは強い風が吹くわけで…。
今日は幸運なことに風がない。風を探せば在りかはきっとわかるはず…。だけどぎりぎりまで近づくことは無理そうだ。異世界に戻ってしまうからな。
「よし、とりあえず霊園の中を歩くけど…あの刑事さんのどっちか一人ここに残ってもらえます?」
「なぜだ?」
「裏付けるためにです。で、どっち残ります?」
一緒に来た刑事とここを見張っていた警察官。
「「じゃあ俺が一緒に行く」」
と二人残りたくないらしく名乗り出た。
「ここは階級が上である私に譲るべきだ」
「いえいえ、私はここを見張っていたので些細な変化にも気づけるかと!」
「いやいやいや」
「いやいやいや」
…らちが明かない。
「じゃあ、警察官さん。携帯貸してください。片方だけでいいので」
「あ、はい!」
と、片方が携帯を取り出す。
私自身携帯を持ってないので連絡役として欲しかっただけなんだよな一緒に来る人は。
「じゃ、刑事さん。電話番号を教えてください」
と刑事さんが自分の携帯電話の番号を教えてくれる。
私は携帯をぽっけにしまい、その場から離れたのだった。
そして霊園の中を歩いていると突然風が強くなってくる。そよ風ぐらいは感じていたのだが、急に風が強くなっていてこの場所でぎりぎり立っていられるくらい。ということは近いな。
私は水の玉を放つと、数mいったところで突然消えた。
あそことみて間違いはないと思うけど…。
私は電話をかける。
『見つかったか?』
「質問があるんですがそちらは風が吹いてますか?」
『風? んー、感じないぞ。そよ風程度の風は吹いてるがそれぐらいだな』
となると確定か。
「一応異世界につながるであろう穴を見つけました。場所は霊園の真ん中…。西園寺っていう人のお墓の前です」
『そうか。わかった。塞ぐことは可能か?』
「塞ぐ…。やってみます」
塞ぐっつってもどうやりゃいいんだろうか。
でかい魔力の塊をぶつけて栓をする…という形しかないか? 私はとりあえず魔力を固めると、頭にアナウンスが響く。
《異世界へつながる穴を封印しますか?》という問いが投げかけられたのでそうすると答えると、風がやんだ。
近づいてみても吸い込まれることはなく、無事封鎖できたようだ。
『封鎖しました。…ってすっげえ魔力使った』
「助かった…。これでとりあえずは安心と言ったところか。魔物の心配はあるか?」
『いえ、おそらくあちらへ送るだけの穴だと思うので心配はないと』
「ならよかった。戻ってきてくれ」
穴、穴には種類があるということを覚えておこう。




