異世界の力が漏れ出す穴
何気にちょっと騙されたが、こいつらは本人だろう。
正攻法で来る方法がわからなかったから邪道で来たんだろうけど…。それにしても私を目の前にしてまで嘘をつくか。
騙されたことがまことに遺憾である。
「でもそれにしてもほんとに日本ねぇ」
「まだ神社の境内だし周り見えないでしょ」
「なあ、街に降りたいんだがダメか?」
「当たり前でしょ。すぐに通報されるっての。やり方教えてやるから戻ってそのやり方に沿っていけもう…」
さすがに影の状態である二人を連れていけたりはしない。
目立ちすぎるし、なにより怪しすぎるのだ。私は二人にやり方を説明し元の世界に返す。ったく、あれじゃ討伐してくださいと言わんばかりじゃないかよ。
さすがに人間じゃないとこの世界では不審がられるっての。擁護するのも限度がある。さすがに人じゃなかったら擁護しようもない。
「だが、あいつらのおかげで穴の場所が分かった」
神社の前。
そこが行き来していた場所だろう。魔力が濃い。どうやって閉じたらいいのかわからないが…。
「警察官さん。私じゃ閉じ方わかんないんでここから何か出てくるようなら私に知らせてください。あと、この社の半径…そうだな、5mは近づかないでくださいね。デパートで暴れていた奴みたいになりますから」
「わ、わかった。だがその前にあなたの名前を教えてくれないか?」
「パンドラです。あ、あとお願いがあるのですが住処を提供してくれませんか?」
「す、住処…? そんなのはさすがに…」
「いいところがあるじゃないですか。留置所が」
そういうと、警察官は驚いていた。
「あそこは事件を起こした人がいくところだけど…自分から行きたいのかい?」
「住処がないんですよ。しばらくそこを拠点にさせてください。おかしな事件の解決を手伝ってあげますよ。私は戦えますから」
「うーん…」
「寝られればどこでもいいんですし、留置所なら警察も私に情報を届けやすいはずですよ。外出を自由にできるようにしてもらえれば」
「上に掛け合ってみる」
といって警察官は頭を掻いてパトカーの運転席に座る。後部座席に乗れと言うので私は喜んで乗ることにした。
その警察官も、もう一人の警察官も困ったように頭を掻いていた。
「この世界の魔物は妙来神社から来てることは間違いないと思うけど代々木公園までどうやって移動したんだ…? 昼に移動したなら少なからずとも目撃者はいるだろうし…」
謎が多い。
もしかしたらゲートは一つじゃないのかもしれない。まだ複数存在していて、そのうちの一つが妙来神社にあっただけのこと…。
だがしかし、魔法を使う人全員が妙来神社行ったという共通点しかないというのが気になる。まさか別物、なのか?
わかんない…。でも、あそこで魔物状態であるシャドウが来た、ということはあそこが行き来できる場所とみて間違いないんだが…。
「きっと、代々木公園のほうは魔物しか出入りできない、のかもしれないか」
そういっていると警察署に到着した。




