流行り病に陥った
ログインすると、司書室に誰かが駆けこんできた。
サルタンと……パライゾ?
「大変だ! エリザベスとサユリが倒れた!」
なんだって?
そういった報せを受けて、私は急いで二人の元に向かう。
二人は寝込んでいる。はぁはぁと息を切らしながら。おでこを触ると熱い。病気……? でも、風邪ひいたようには見えなかった。昨日までは元気よく二人過ごしていたはず。
急に風邪を引いてぶっ倒れるだろうか。
「パライゾ。王都まで行ってきてもらえる?」
「なぜ私が!?」
「確認したいことがある。早く行ってきて。このままだとまずいことになるかも」
なんとなく嫌な予感がしている。
パライゾはため息をついて、全速力で行くといって王都まで向かう。私は司書室に戻り、病気の本を読み返した。
ペラペラとめくって、怪しい病気をチェックしていく。
「フルールク感染症……ね」
人間、亜人だけに感染する病気。
これに感染すると初期症状が高熱で倒れるという。次第に体に黒い斑点ができていき、全身が黒く染まる。特効薬はメピウスの葉だ。
うーん。こういった類の薬草、栽培してるところ知らないんだよな。
「もしこれなら多分王都でも流行っているんじゃないだろうか」
流行り病というやつだ。
この病気に潜伏期間があって、潜伏期間は二日間だ。自覚症状が一気に出始めるらしい。
亜人と人間だけに……。って、あ。
「パライゾに行かしたのは失敗だった!」
人型だから怪しまれないだろうなと思ってたし飛べるから移動も早いだろうと思っていたけど、吸血鬼も亜人の一種かもしれないんだ!
くそ、サルタンかフォレトスに行かせればよかったのか?
「……まあいい。患者が増えただけだ」
医学の心得はない。
だけどまぁ、貴重な戦力を無駄にするわけにはいかないし、やれるだけやってみよう。
まずはメピウスの葉なんだけど……。この草は栽培できるわけじゃないらしい。魔力の濃い場所に生えている。魔の森が主な主産地なんだとか。
これは採取が楽そうだ。
「ワグマに行かせ……いや、ビャクロだな」
なぜか知らないけどログインしているビャクロに行かせよう。
ビャクロを呼び、採取して来いというとえーと不満を漏らした。
「そもそも、勉強はいいのか? 私から親に言ってもいいんだけど」
「行かせてもらいます」
弱みを見せるなよ私にね?
まあ間違ったものを採取してくるなんてことはまずないはずだ。似たような草はない。これが幸いと言ったところか。
現代日本だと似てる草があるからな……。例を出すとヨモギとトリカブト。こういうのがとても厄介だ。
「流行り病、ねぇ」
どこから病原菌が来たんだろうか。




