重力操作!
魔王城の司書室でゆっくり本を読んで過ごしている。
今読んでいるのは宇宙創成譚という宇宙ができた話だ。この本は魔力を感じる。サユリはこれは魔導書だと言っていた。
へぇ。
魔導書はともかく、内容はとても興味深かったので読んでいる。
地球の宇宙の歴史とはちょっと違った。太陽があるのは変わりはないが、ビッグバンは起きていないらしい。
誕生のきっかけは神様が落とした水。水が広まっていき、宇宙となった……というらしい。今も水はどんどん広まっていっているんだとか。
水、ねぇ。
「用語は全く同じだな」
プロミネンス。リソスフェア等々。
呼んでいるとアナウンスが聞こえる。
《魔法、宇宙を獲得しました》
なにそれ。
宇宙? ステータスを見てみると確かに追加されていた。重力操作が使用できるんだとか。うわ、なにこれすっげえ使い勝手いい。
試しに無重力を唱えると私がふわふわと浮いた。対象設定私にしたからか? これが、宇宙。
「あいたっ」
天井にぶつかった。
そうだよな。無限に浮き続けるか。ふーむ。無重力はこうなるか。
その場にとどまるには少しの重力が必要……。いや、地面についた状態になるか。ただジャンプしたらすごいところまで行くだけで。
うーむ。これで飛行とかできたらいいんだけどな。ロケットみたいに作用反作用の法則を適用しなくちゃならないか。これ使用したまま他の魔法できそうだけどごりごり減ってくだろうなMPは。
「ただこれすっごい破格だよな。とりあえずあの机に重力30倍をかけてみるか?」
説明だと10倍までできるんだとか。
100キロの人がかかったら一トン近くの体重になるんでしょ?
「これは対人によさそうだ。しばらくはこれ使おう」
思わぬところでいいものを手に入れた。
ただ気が付いたのは魔力の減りががっつり早い。倍率によって魔力の減りの速度が速いらしい。ダークエルフだから魔力は多いほうだけど数秒使っただけで三分の一になっているのは驚いた。もって三十秒というところか。
5倍くらいで使っておくのがよさそうだな。
「この本はいいものだ。どこから手に入れたんだろうこれ」
この街の図書館にあったというものだったが。
なんでこんな魔導書が図書館なんかにあるのかが不思議だ。その謎もおいおい追っていこうと思う。今はただこの魔法の練習がしたい。
が、そろそろログアウトしなきゃな。よい子は寝る時間だ。私よい子だからもう寝るの。いや、本当は二人がログインしてないからつまらないだけなんだけどね?




