新年度が始まった
私たちは二年生へと進級した。
二年生も白露、月乃と同じクラスである…わけがなかった。というのも、今年から導入された実力制度というのがあり、スポーツ推薦の子と頭がいい子を合わせたらスポーツ推薦の子が付いていけない、頭がいい子はすぐ理解できるけど頭が悪い子は理解できないことが多いとなり、成績順でクラスが分かれることになった。
私は一組、月乃と白露が四組らしい。月乃はよくもなく悪くもなくって感じだけどそんなに成績低かったのだろうか。
私の場合は素行がちょっとアレだが、テストの点数はぶっちぎりでいいので一組。
「ふあーあ…」
今日から新しい春が始まる。
来年は同じクラスになりたいが……。白露、月乃が私と同じくらいの成績になるというのは現実的に厳しいだろう。
私が合わせるしかないのか。
「はーい、では、新二年生のみんな。自己紹介していこう!」
担任は熱血教師の新井先生。
前に私に無理強いをしてぶっ倒れさせた先生だが、反省したのか強要はしなくなり、ほめて伸ばすらしい。些細なことでも暑苦しく褒めてくれるらしい。
いい先生、ではあるんだけど褒められすぎるのもちょっとうざいんだよな。
「えー、伊東 甲斐です。これでも滅茶苦茶頭いいと思ってます。誰にも負けませんのでよろしく」
「えー、伊東くんは転校してきたそうだ。みんな仲良く…」
「俺より頭悪い奴と仲良くするつもりはないぞ」
と、ぶっきらぼうに座る。
あーあー、お高く止まってるやつがきたもんだなぁ。っていうかどこからその自信が来るのか。伊東、伊東ねぇ。
私となら仲良くしてくれるのだろうか……。いや、仲良くするつもりもないけど。
自己紹介も淡々と進んでいき、私の番になる。
「あー、夢野 眠です。趣味はゲーム、好きな食べ物は飴。好きな教科は体育以外全部、嫌いな教科は体育です」
「先生の前で体育が嫌いって言える度胸すごいぞ!」
「嫌いなもんは嫌いですから」
実際体を動かすのは嫌いだし。
と、私が話終わり座ろうとすると、こちらを見ている伊東くんの姿が見えた。その眼孔はとても鋭く、私を嫌っているかのような気がした。
まあ好かれたいとは思わないけれど。早く終わって月乃のとこ行きてえなぁって。
「君たちは新たな二年生! 後輩もできることだろう! みんなで学校をよりよくしていこうな!」
「めんどくさ…」
私がそういい、新井先生はこの後のことを伝え、朝のホームルームが終わるのだった。
私は月乃のところにいこうと立ち上がると、目の前からおいと声がする。眼孔が鋭く見下ろすような感じで伊東くんがたっていた。
「なに?」
「……お前、頭いいんだってな」
「そうだよ? 自慢じゃないけどね」
「……俺と友達に」
「あ、ごめん、無理。じゃ」
私は伊東くんを無視して月乃のところに向かうのだった。




