ワグマたちと一緒に街に入ろう
冒険者ギルドに兵士さんに連れられてきて、冒険者カードを取得した。
きらりんと光るそのカードはなんというか……運転免許証みたいな感じがした。いや、うーん。いいんだけど運転免許証みたいだなぁ。
なんて思いながらも、兵士さんと会話をしていた。
「お嬢ちゃん。これは俺からのお小遣い。好きなもの買っていいよ」
と、金貨を一枚手渡される。
うわ、この人太っ腹。普通見ず知らずの人にここまでするか? というか、私は未来の魔王軍になる人ですよ? この人幼女である私に裏があるということとか警戒しないのだろうか。
それはそれで嫌なんだけど……。
でも、問題面であるお金も手に入れた。
私は、あるものを探すことにした。
そして、数十分後、お目当てのものは見つかったのだった。
「よし、これでいい」
私は急いでワグマの元に向かう。
ワグマは地面にお絵かきをしていた。熊の絵を描いている。なんていうか、リアルっぽくない。むしろファンシーな絵だ。
私はワグマの肩をちょんちょんと叩く。
「ワグマ。街に入れるよ」
「ほんと!?」
「うん。これをつけて」
私が取り出したのは手枷と首輪。
それをみてワグマは少し嫌そうな顔をする。屈辱を味わってもらうことになるとか一応言ったんだけどな。まぁ、犯罪者みたいに扱われるから結構嫌だろうな。
「これを嵌めればいいのか?」
「そう、首輪をつけて……手枷をつけて」
「うぅ……なんていうか、犯罪者よねもう」
ワグマ(拘束バージョン)の完成だ。
で、一応ビャクロにも首輪をつける。身分証があるのは私だけで、ビャクロは奴隷として連れていくことにした。
私は、二人の鎖を手に持った。
「なんか、飼われてる犬の気持ちになれるな」
ビャクロが少し笑っていた。
そして、門を通るときに先ほどの兵士さんがまた声をかけてくる。
「お嬢ちゃんまたきたのかい? ……と、その奴隷さんはどこから?」
「えっと……森で迷ってたので保護をしてあげたんです。その、ダメでした?」
「いや、いいよ。ただ、片方は魔族のように見えるけど」
「え、魔族さんなんですか!?」
「うーん。でも枷もつけられてるし大丈夫かな。もし枷が外れたりしたら兵士さんを呼んでくれるかい? 魔族は危険だから。近くにいるだけでも怖がられるからね」
「はーい! 気を付けます!」
私は、兵士さんにバイバイと告げてその場を離れた。
「……パンドラ」
「……なに?」
「あんた、あんなキャラだっけ?」
「あ、あれは仕方なくね? 仕方なくあんなキャラなの。気にしないで観光するよ! ほら!」
私は少し恥ずかしかったので誤魔化そうと街の案内をすることにした。