魔王城に戻った
王城の書庫で本を読んでいたら日が暮れた。
私はとりあえず帰ることにした。モルを呼び、レオンに別れを告げて魔王城に戻っていく。魔王城の中庭にモルがおり、私も地面に降りる。
そして、私が中に入っていくと、カイハとマリアベルと目が合った。
「…敵襲か!?」
「…カイハ様。ここは私が食い止めます…」
「馬鹿野郎! あんたもあまり戦えねーだろうが!」
「最悪ドラゴンになってでも…」
「馬鹿野郎! とりあえずレブルを呼べ!」
と、なんだか話していた。
「いや、私だけど」
「……その声はパンドラ様でしょうか」
「パンドラ?」
「正解」
私はとりあえず場所を書庫に映した。
書庫では私のアバターが眠っている。私はとりあえずその横に座って、話すことにした。っていっても遺産を守ってるっていう話だけど。
そのことをいうとそうなんですかと納得したようだ。
「……影、残念ながら影をいじる開発はねーんだよな。実体がないものはどうしてもいじれない」
「なんでいじる前提なの?っていうか一応物理攻撃は効くから」
「主よ…。とても、かっこいいです…」
「そういうのに憧れるんだ…」
そういえばマリアベル好奇心の塊みたいなもんだったな。
平気で怖いものに近づくし後先考えない。祈ればなんとかなると思っているだろう。さすがにそういうことはないよね?
でもまぁ、信じてもらえて何よりだ。
「しばらくここにこもってるから。カイハとマリアベルが一応広めといて。私がパンドラということ」
「わかりました…。パンドラ様のためならば」
「任せとけ! 俺様の素晴らしい発明で…!」
「いや、普通に口頭で言えよ…」
と、二人が出ていくのだった。
すると、運営からメッセージが届く。
「君がログアウトするまでは少しかかりそうだ。一週間…くらいかかるかもしれない、か」
ということはそれほどログアウトさせないプログラムが複雑なのかもしれない。
誰の犯行かは知らないがおおよそ内部の人だろうな。状況的に考えると。私たちが家で使っていてもこういうことはないし、私たちが会社にいるときだけに起こった、かつ、私たちがイベントをしている最中に起こった。きっと内部の人だろう。
会社の機器だからこそセキュリティを突破で来たのかもしれないな。
「…ま、早く犯人を見つけてほしいな。それまで私この中とか…。現実の方でのご飯とかどうなるんだろう。栄養失調で運ばれたりしないのかな?」
楽観視しているがさすがにまずい。
精神だけがここに取り込まれたということはあっちの体は空っぽなんだよな。きっと夢を見続ける…。本当に眠り姫じゃねえか。
王子様のキスで起こしてくれたりしないのかな?




