暇だから遊びに行こう!
閉じ込められた。
あの爆発が原因でログアウトできなくなったっぽいな。あの爆発、たぶんログアウトできなくさせるプログラムがあったんだろう。
……狙いは私だったのだろうか。
「あの爆発、本当はワグマを狙っていたものだったりしてな」
私はそう言って笑うが、ちょっと笑えない。
仕方ないので場所を移動しようと思う。この状態で死んだらとか考えるが、それを検証したくはない。死んでしまって戻れなくなったら困るしな。
私はとりあえずダンジョンの外に出ると、そこは森が広がっていた。
「とりあえずレオンのところに遊びに行くか」
私は口笛を吹くとモルがやってくる。
モルは黒い私に戸惑っているようだったが、私だと認識したのか鳴き声をだして近寄ってきた。ほおずりしてくる。
私は撫でて、背中に乗る。
「じゃ、モル、国王のところにレッツゴー!」
モルは羽ばたいたのだった。
私が城に行くとみな大騒ぎだった。
でかい鳥のモンスターを見て戦闘態勢を取るし、私が影なせいかみんな私だとわからないので私に剣を構えている。
そういえばそうだったな。くっ、どうしよう。
「あのー、戦う気はないんで剣を下ろしてもらえると…」
「勝手に王城に侵入しておいて…!」
「遊びに来ただけですよ。ほら、私魔王軍です。ちょっと国王に報告がありまして!」
「そんなウソに惑わされるか!」
「嘘じゃないですけどね」
いや、報告があるのは嘘だけど。
と、その時、騒ぎを聞きつけたレオンがやってきた。
「おーい、レオン!」
「……その声は」
「私だよ私。今理由あってこの姿でさー」
「…そいつから離れたまえ」
レオンがそう指示するも、他はしかしと言っていた。
「そいつを怒らせたらまずいのだ。わりとマジで国を潰せそうだからな…」
「やり方によっては可能だけど…」
「それに、私の知り合いだ」
というと離れていく。
「…で、なぜそのような姿なのだ」
「いやー、魔王の遺産をね、守るためにこの姿になったのよ。本体っていうわけじゃなく分身体といったほうがいいかもしれないけど」
「なるほど。魔王の遺産…。おとぎ話だと思っていたが実在するのか」
ちゃんと伝承にも残されてるんだ。
それっぽい本は王城で見かけなかったけれど。
「ま、今はわけあって離れてるけど。暇だから遊びに来た」
「…はぁ。なんであなたは真正面からどうどうとこないんですか」
「いやぁ、いちいち確認取るのめんどくさいし」
「めんどくさがっていたら先ほどのような騒動になりますよ。といっても、あなたの今の見た目が見た目なのでどちらにせよ怪しまれていたかもしれませんけどね」
うん。だから秘密裏に侵入して遊ぼうと思ってたけどまさか降りるところを見られるとはね。モルの羽ばたきがわかってしまったのが問題だ。
「とりあえず本が読みたい」
「わかりました。じゃ、書庫に行きましょうか」
「ふふっ、デートみたいだね」
「あなたみたいな怖い人が恋人というのはごめんですけど」
「…そんな怖い?」
「はい」
そんな即答しなくてもいいじゃないですか。
ちょっと楽しんでる




