もう一度戦おう
ビャクロも負けてしまった。
私が一旦ログアウトすると悔しそうにというか、無心でビャクロがお菓子を食べていた。
「勝ててたのに悔しいぞ…!」
「悲劇だったな…。っていうかポテチ食べすぎ。私にも寄越せ」
私もポテチをもらう。
残りはワグマだけだけど……。敗者復活しないかな。無理かなー。運営もこの部屋にいるし、この部屋で調整などを行っている。私はじっと見つめてみるとにこっと笑われた。
「もっかいだめっすか?」
「うーん、そうだなぁ、二日目で二人とも負けるのはさすがに予想外過ぎたからね…。ちょっと考えてみるよ」
ということでまだ挽回の余地はありそうだ。
さすがに二日目で脱落はダサすぎる。運営としても望まない結果だっただろうに。
「そうだなぁ、シャドウ…。ワグマさんと共闘するかい? 誰も挑戦してないみたいだし」
「ええ…」
「魔王ってことで結構難しい難易度にしてるからね。そこまで転送するよ。それでいいかな?」
「わかりました! おい、ビャクロ。まだ仕事があるぞ」
「わかった!」
「ただ、純粋なバトルしかできない仕様だから。あと、あの遺産の武器使わせてあげるよ。そのほうがプレイヤーたちは絶望するでしょ?」
と、不敵に笑う。
意外とサディスティックだなぁ。でも、それもいいかもしれない。バランス調整なんて知った事かと言わんばかりだけど……。
でも、その分プレイヤーも強くはなってるというので仕方ないか。
私はまたログインした。
ログインするとワグマが暇そうに座ってる。
「よっ」
「あんたら負けたのねもう…」
「あはは。タケミカヅチにやられた」
「同じく」
「あいつどんだけよ…」
ワグマは呆れている。
「だーれもこないの。で、あんたらはなんで来たの?」
「ん? 私たち三人で戦えって。だから来た」
「そう」
私は弓を担ぐ。
「それは?」
「あの遺産。貸してもらった」
この遺産の見た目はなんていうか、硬い。渇いている。っていう感じかな。色は血の色。もしくはワインレッドといったところだろうか。
この弓の名前は魔王弓ハイドレンジア。
性能はと言うと放つ弓矢は防御を貫通する。これは従来の奴も少しはあるが、すべてが高威力なのだ。
大剣の攻撃力を弓矢につけたっていうような感じ。ただ、これはまっすぐにしか飛ばなく、減速して落ちたりはしない。
属性は闇。高威力で防御貫通は普通にいい効果だ。
「これで私は戦えってさ。ためしに一回撃ってみる」
矢を構え、弦をひく。
そして、手を放つとまるで光線と言わんばかりの速度で射出され、そのまま壁に突き刺さる。うわ、すっげえ……。
ただ、使用回数があるっぽいな。真ん中についている球の数字が一つ減っている。15から14に。15発しか打てないということだ。
使い切ったらどうなるんだろう。普通の弓矢になるのかな。
「……っと、タイミングよくお客さんっぽいな」
「暇してたのよ。さて、いっちょやりますかね。あんたらも戦いなさいよ?」
「はいはい」
私は弓をまた手にした。




