戦闘スタイルの変換
そういえば運営はどういう対決でもいいとは言っていたな。
そうか、戦いという分野で行く必要がないということだ。ということは私の得意分野である頭を使ったバトルを挑めばいい。
テーブルと椅子を用意してくれないだろうか。
運営にメールを送ると目の前にいすと机が現れた。
その瞬間にまた挑戦者が現れる。私は椅子に座り、挑戦者に座れと促すのだった。何も知らない挑戦者は椅子に座る。罠は特にない。
「そうだなぁ、私は実のところ戦闘があまり得意じゃない」
「は、はぁ」
「だから、ゲームで勝負しようか。君たちは将棋はさせる?」
全員首を振る。
「チェスは?」
首を横に振る。
どうやら盤面遊戯はほとんどできなさそうだ。じゃあしょうがない。オセロでいいだろう。オセロで勘弁してやろうか。
私はオセロを要求すると、目の前にオセロ版が現れた。白と黒の色が付いた石が私と挑戦者の前に現れる。
「黒と白、どっちがいい?」
「く、黒で」
「そう、じゃ、私は白ね」
私は真ん中に二つ白い石をならべ、相手も黒い石を真ん中に並べる。
「さ、ゲームを始めようか。私にゲームで勝ったら遺産を差し上げますよ」
結果は私の勝ちだった。
盤面のほとんどが白く染まっている。
「そんなっ!」
「ま、これじゃ遺産はダメだね。ばいばーい」
私がそういうとプレイヤーは強制送還されていく。
目の前から消えていった。死亡扱いではないからデスペナルティは発生しないが、私との頭脳戦を勝つ人はいるのだろうか。これでも少々手加減はしているレベルなんだが。
「やっぱ戦闘じゃなくて頭脳戦だよ私は。他は無理だ」
戦闘はどうしても現実での運動神経が足を引っ張ってしまう。思うように動かないことが多い。その点テーブルゲームはとても素晴らしい。
私はテーブルに座りながら紅茶を飲んでいた。挑戦者もなかなかこないので特に暇なのである。ワグマとビャクロはどう戦ってるかわからないけどビャクロはきっと肉弾戦で戦うということはないだろう。彼女自身体を動かしたい派だ。ろくに相手にならないやつがきたらそれこそ不満が溜まるはず。だからきっと……そうだな。私の予想だとパルクールみたいなものになってるんじゃないだろうか。
ワグマの場合はどうなんだろ…。予測できないんだよな。
良くも悪くも普通だからきっと素直に戦闘をしているんだろうか。そうなると一番簡単な試験というか遺産をゲットできるのは実はというとワグマのところになりうる。
各々得意分野で勝負すればいいのだ。ワグマもきっと…。




