王子の第二の真実
現実での憂さ晴らしをするかのように私はレベルを必死に上げていた。
冒険者たちも蹴散らしてしばらくは手出しはしないだろう。でも、それは確実じゃない。前回の襲撃は事前に知っていたから対処できたんだ。
奇襲なんてされていたら終わっていただろう。
「そもそも地雷って作るの結構大変だしそこまで量産できないしな」
あと、味方が踏んでも爆発するという難点がある。
地雷を仕掛けたら私たちもそれ以上先にいけないのだ。遠回りするしかないし、開けた道のほうが戦いやすい。
そこをもっと改善していかなくてはならないんだけど……。
「一番は人なんだよなぁ」
七人の賢者と三人の私たちでやっと二桁いく数はさすがに少ない。少数精鋭とはかっこいいものの人数が少ないということは一人やられたら戦力がガタ落ちだし、警備に割ける人数も少ないというわけで。
「人材派遣会社で魔王軍募集したらこないかな」
そもそも人材派遣会社なんてゲームにないだろうというツッコミはおいておいてだ。
私は、弓を背負い、魔王城に戻ると、なにやらデカいリュックを持った人が魔王城の前に立っていた。その姿は震えている。国からの使者か? それなら丁重にもてなすんだけど。
「どうしたの?」
「ひゃい!?」
肩に手を置いて話しかけるとその人は驚いて飛び上がり扉に顔面からぶつかっていた。
「なんでそんな驚いてるの……。で、人間が魔王城になんかよう?」
「あ、ああ、あの! ぼ、ぼぼ、僕アシッドといいます!」
「アシッド君。で? 魔王城になんかよう?」
「ああ、あああ、あの! ま、魔王軍に入れてくださいっ!」
まさかの魔王軍志望者……。
事情を聴くと、この男が住む村では税金がとても厳しいらしかった。年収穫した量の7割という法外な年貢を持っていかれ、食べるものがなく、一人、また一人と村から逃げているらしい。
村だから金もなく、だから仕方なく穀物を税金にしているらしいけど……。昔の日本かよってツッコミたい。国が二ホンって名前だからこうなるのか?
「僕を雇ってください……! 斥候でもなんでもいたしますでっ」
「とはいってもなぁ。国を滅ぼしたい理由にしては弱いな」
「ええ!?」
「悪徳貴族が横暴だから国滅ぼしますってそりゃあんたらのほうが横暴だろってつっこんでいい?」
滅ぼすんならその悪徳貴族だけでいいだろう。
国まで恨む必要はないと思うが。いや、そういう輩をのさばらせている王子も王……。ん? あれれ? なんか引っかかる。
「エレメルさん。そういえばあんた王子の婚約者だったよな?」
「え、ええ」
「この国って第二王子とかいる?」
「ええ、いますけど……」
「第二王子ってどんな顔?」
「えっと、姿絵がこちらに……」
懐から写真を取り出してくる。
この顔は見たことがない。
「王子の婚約者ってあんたどっちの婚約者だったんだ?」
「えっと……第二王子のほうで……」
……第一王子。悪かったよ。
いらぬ疑いをかけていた気がする。
「第二王子が国を変えたいとか言ってたのか?」
「え、ええ。兄弟そろって国を変えたいなんていうもんですから……」
「おっふ……」
詰めの甘さが露見した。
こういったことを確認取らないとダメだろう。流石に今回は私が悪かった。あの時来たのは第一王子。婚約破棄を画策していたのは第二王子だった……。
第二王子が婚約破棄をすることを知っていたから第一王子はあんなことを伝えてきたんだろうか。
「これじゃ本当に悪人だよな。勝手に真実を作り上げていた。そうだよな。王子のスペアを作らないわけがないもんな」
「な、なにを……?」
「いや、こっちの話」
そもそも、あの王子はエレメルの事が好きだ。好きな相手にこんなことするとは到底思えない。
自分じゃ引き留められないからこそよろしくされたんだろう。あー、もう! バカだ!
「それで僕は魔王軍に……!」
「少し黙ってろ今自己嫌悪中」
「はひっ」
※兄弟がいないとは言っていない




