月乃と男が一緒に? ③
私は掴まれていた手をおさえる。
「本当にごめんなさいね。でも、白露にあんな態度を取ることもおかしいのよ? 友達はあんたの都合のいい駒じゃないのよ」
と、月乃が優しく説教をしてくる。
本当に気づいてないので仕方なくネタバラシだ。
「あのさぁ、月乃。私だよ」
「……えっ!?」
「白露に気づけても私に気づけないのか」
というと、月乃は気づいたのか、肩を振るえさせる。
「やっぱパン子だったのね! 白露はすぐにわかるけどあんたはわからないわよ! ってか、何そのメイク! 何その恰好!」
と、月乃が驚いたのか指をさす。
「知り合いか?」
「私の友人よ! なんであんたそんな恰好……」
「いやー、偶然二人で買い物に来たらさ、月乃が男と歩く姿が見えたから急いで服を買ってメイクをして別人に見えるようにしたの」
と笑うと私の頭にチョップをかましてくる。
「馬鹿なの!? あんたいくらかかったのよ!」
「二人で五万くらい」
「……私もあまり人の事言えないけどあんたも相当金の使い方馬鹿ね」
それはわりとマジで自分でも思う。
「これでも割と安く済ませたほうだよ? むしろ安いお金でファッションからメイクまでこなした私をほめてほしいな」
「あんた才能も金も無駄遣いが激しいわね……」
褒めてるかどうかわからない言葉を言われた。
私たちはベンチに座る。
「つまりアレは演技だったのか? にしては本格的すぎた気が……」
「こいつ、人を化かすこととか大得意よ」
「やるなら本気でやる。まぁ、白露がばれることは想定内だったしどうせいずれボロを出すだろうと思ってた」
「……月乃って呼んじゃったもんな」
白露が反省しながら隣に設置してある自販機で飲み物を購入していた。
月乃と吽神家の長男さんも自販機で飲み物を買っている。私は買えないのだ。
「あんたは買わないの?」
「金がない。わりとマジでぎりぎりだったから。今財布の中に53円しか入ってない」
そうなのだ。五万円は入っていたんだが小銭がなかった。おつりで53円。見事にジュース一本も買えないお金で、来月の小遣いまで待たなくちゃいけない。
悲しいかな……。普段使わないメイク道具まで買っちゃってよォ……。この服も多分永遠に着ないと思う。
「ほんと頭いいけどところどころあんた馬鹿よね。お金の使い方に計画性がないというかなんというか……」
「女子の服って改めて高いんだなって思いました。まる」
「何飲むの」
「あ、買ってくれるの? じゃあ炭酸で」
「しょうがないわねぇ」
と、コーラを渡された。
「あんた、ほんと別人みたいね……。こう眺めると」
「別人に見えるようなメイクだからね。でもよく見ると元の私の名残があると思うよ」
「前々から練習していたの?」
「いや? 今日ぶっつけ。情報としては押さえてたって程度」
「ほんと才能の無駄遣いよあんた……」
月乃がため息をついた。
「で、改めて紹介するけど魔子の兄の宝持さんよ」
「あ、その、なんだ。性格ブスとか言って悪かった」
「そのくらい謝らなくていいわよ。パン子気にしてないもの」
「そのくらいでメンタルやられるわけないって。あれも全部演技だからこそ性格ブスって言われても文句ないしね。実際性格ブス演じてたわけだし」
「……あんた将来女優にでもなったらどうだ?」
「私がなるとアカデミー賞すぐとっちゃうから嫌だよ」
そう切り返すとふふっと笑った。
「単なる家の付き合いで一緒にいるだけよ。納得した?」
「ああ」
「そういうこったろうとは思ってた」
「はぁ……」
「で、月乃さん。ちょっと相談があるんですが」
「相談?」
「帰りの電車賃、貸して?」
というと、爪を頬にぐりぐりされた。痛いです。




