街に入りたい
方針はおおむね決まった。あとは……。
「方法なんだけど、ワグマの見た目は人間って言い張るには無理があるよなぁ」
肌が黒いからなぁ。
どうみても魔族だって思われてしまうだろうし。私はダークエルフだし多分大丈夫だと思うけど……。あと吸血鬼も見た目はほとんど人間だしな。
だから、ビャクロと私は街に紛れこんでも大丈夫だとは思う。
「え、ダメなの?」
「ダメじゃないかもしれないけど、魔族のイメージ的に考えてもごらんよ」
「……ダメっぽいなぁ」
もしかしたら魔族は危険視されている世界かもしれない。
街中でワグマと行動を共にするには少しばかりリスクがある。魔族が悪で、一緒に行動していたらきっと仲間だと思われて街では行動できなくなるかもしれない。
それは避けたい事態だ。
「私だけお留守番するの!?」
「……それしかないんだけど」
「行きたい! 私も行きたい!」
だよな。
どうするか……。肌の色は、もう変えることができないし……。身を隠すしかないんだけど。…いや、なくはないか。ただ、そのアイテムがないだけなんだけど。
「じゃあ、最初私が町に入ってあるものがあったら手に入れてくるから、それまでビャクロとお留守番してて」
「方法あるの!?」
「ちょっとワグマには屈辱を味わってもらうことになるけどなくはない」
「いいわよ。街歩けるなら何でも!」
「そう?」
なら、大丈夫だろう。
私たちは、途中採取をしながらも歩いていった。整備された道をまっすぐ行けば多分つくだろうとおもって。その予想は当たっていた。
でかい門がある。前には兵士が立っていた。
「それじゃ、待っててね」
私は門に近づくと兵士に止められる。
「身分を証明するものはあるかな?」
「みぶんを……?」
「なんでもいいんだ。たとえば、冒険者カードとか。住民票とか。安全を確認できないと中には入れられなくてね」
「えっと……その、私エルフの森から出てきたばかりでぇ…」
「そっか。エルフの森から出てきたばかりか。弱ったな……」
兵士は頭を掻いていた。
「なら、冒険者ギルドまでおじさんといこうか。おじさんと一緒なら大丈夫だから。ね?」
「ありがとう! 冒険者になるよ!」
「よしよし。飴いるかい?」
「食べる!」
こういうのは下手に出たほうがいいからで……。わ、私の性格はこんなんじゃないからね?
誰に言い訳するでもなく、私は言い聞かせていた。
そして、兵士さんと手をつなぎながら一緒に冒険者ギルドにまで足を運ぶ。本当に生きてる人間のように体温を感じた。手が大きかった。
体格差があって、……まぁ、うん。男の人だなって思いました。
……現実世界でも男の人と縁があれば慣れてるから。縁がなくて男の人になれないだけだから。
……でもちょっとやっぱ男の人に触るのはドキドキする。
主人公ズの設定とか少しだけ説明
夢野 眠 PN:パンドラ
現実世界でも目の下に大きなクマがある。寝不足というわけじゃないけれどなぜかあって、気にしていない。寧ろかわいいと思ってる。
阿久津 月乃 PN:ワグマ
魔王になりたい系女子。お嬢様。
球磨川 白露 PN:ビャクロ
スポーツバカ。柔道部に所属。柔道では負けなし。テレビにたびたび取材されている。
頭の良さでランクづけると
パンドラ>ワグマ>ビャクロ
運動神経なら
ビャクロ>ワグマ>パンドラ