姫プレイヤー、来襲
とんでもない地雷女と出会って数時間後。
なにやらさっきの女性プレイヤーが魔王城の前にいたのだった。ワグマとビャクロが対応しているがなんだか辟易としたような顔をしている。まだ懲りてないのかと思いつつ、私はワグマに近づいた。
「パンドラ! 誰よこいつ」
「ん、姫プレイヤー」
「姫プレイヤーってなんだ?」
「……こほん。えー、私この敵に勝てないけどこの装備作りたいんだー。みんな私のために狩ってきてくれないー? 私か弱いからーみたいなことをするプレイヤーだ」
「「似合わない……」」
うっさい。
「そんなことしないわよ! 私のためにみんなが勝手に狩ってきてくれるの! いい迷惑だわ! ほんとに!」
「なら、迷惑なら捨てればいいのに。本当はねだって狩ってきてもらったくせに」
「ぐっ……」
その装備は知っている。
ボスモンスターのレアドロップの素材を使うやつなのだ。ちょっと難しくレアドロップということでドロップ率は低く設定されているはずだ。
一回ならまだしも周回前提のものなんてこいつがやるとは思えない。
「なに? 私に負けてなお因縁つけるの?」
「そ、そうよ! あんたらなんか私のしもべたちにかかれば屁じゃないんだからね!」
「屁じゃない、ね。でもこの前ビャクロ何人倒したっけ? 一戦闘で」
「うーむ、細かい数字はわからんが千は余裕で越えているな」
「ビャクロのレベルは?」
「319だ」
「私よりたっか!?」
私は213という感じ。百以上も差があるってなんでだろうとかんがえると以前の反乱軍のせいだろうな。あれのせいで経験値がどぱっと入ってきたんだろう。
ビャクロのレベルを聞いて、少し後ずさりしていた。
「こいつが相手してやるけどどうする? 無駄死にしたいの?」
「……わ、私用事があるの思い出したわ! じゃ、じゃあその、バイバイ!」
と、逃げかえっていった。
だっせえ。と思いつつ、そのあと女の子の叫び声が聞こえてきたのだった。きゃーというデカい悲鳴。私はちょっと笑ってしまう。
「パンドラ、もしかして……」
「来ると思ってたから帰ってくるときに簡単な罠仕掛けておいた」
「怖いわね……」
私たちが罠のところにいくと、さっきのるるんちゃんというひとが足にロープがまかれて吊るされている。
ぶらぶらと揺れ、騒ぎまくっていた。
「何よこれは! 早くおろしなさいよ! 可愛い私にこんなことするなんて許せないわ!」
「そんなにおろしてほしい?」
「おろしなさい!」
「謝罪がないと嫌だなぁ。頭が悪いとか言われてちょっとムカってきたからさ」
というと、私を睨んでくる。
「いいからさっさとおろしなさい!」
「謝罪」
「あんたなんかに謝罪する必要はないわ! 事実しかいってないもの!」
「そう?」
私は弓を構える。
るるんはその弓を見て喚き散らす。私は喉元を狙うのだった。弓を引き、そして、射る。矢は喉に突き刺さった。
るるんはそのままポリゴンとなって消えていくのだった。
「パンドラ、本当は腹立ってないんでしょ?」
「わかる?」
「その顔見たらわかるわよ。ものすごく笑顔じゃない。珍しくあんた顔に出てるわね……気色悪いわ……」
「ひどい言い草だな……」
とはいいつも、楽しかったのは本当だ。




