警察署で餅つき
私は杵を持っている。
「よし! 来い! 眠ちゃん!」
「殴るなよ? 俺たちが逮捕しなくちゃいけないからな」
と、警察の人が茶化す。
私は警察署の広間で餅つきをしていた。白露が餅つきするんだが来ないかと誘ってきたので参加したが。みんな警察官らしい。婦警さんも応援してくれている。
それに、警察官は私のことを知っている人ばかりらしい。白露と付き合う以上仕方ないかもしれないが。
そして、警視庁に勤める人も数人来ているらしく面白そうにこちらを見ていた。
「せい!」
私は杵を振り下ろす。
餅がびたんとなる。そして振り上げると粘り気が強い餅がひっつき、伸びていた。
「自首します……。餅を殺してしまいました……」
「なんだと? なら逮捕だな。えー、午前10時20分。容疑者逮捕」
と、ふざけていったのにそれをふざけて返して私に手錠をかけてくる。
その警官は笑っていて、隣にいた白露も滅茶苦茶笑っていた。他にも家族連れの人がいて、子どもたちが私をかこう。
そして、指さしてきた。
「お姉ちゃん犯罪者だー!」
「悪い人!」
「おいおい、そんなに悪い人を煽るなよ? 手錠されててもなにするかわかんないからなー?」
私はちょっと追いかけてみると子供たちは面白そうに逃げ回る。
「これは極悪犯だな」
「子供たちを狙うとは……」
「ちょっと脅かしただけなんで刑は追加されませんよね?」
と、笑っていると餅つきが終わったのか婦警さんが餅を持っていった。
どうやら料理するらしい。婦警さんが何餅がいいか尋ねてくるので私はちょっとだけ悩んだが。
「お汁粉で」
「よくあんな甘いの飲めるな……。おじさん歳だから甘いの受けつけなくなってなぁ」
「そうですか? 私たちはスイーツ女子なので余裕ですけど!」
「女子って言う年齢でもないくせに……」
「今なんか言いましたかぁ?」
「いえ! 本官はなにもいっておりません! 決して!」
和気あいあいとしている。
私の手錠は外され、白露がお疲れさんと肩を叩いてきた。
すると、突然覆面をかぶった人が会場に現れる。
ナイフを突きつけていた。が。
子供たちと奥さんたちは怯えている。だがしかし。私はそのまま犯人に向かって突っ切っていた。
「白露」
「戦うのか?」
「君たちは下がっていなさい!」
「いえ、別に怖くないですよ」
犯人が私を持っていたナイフで突き刺してくる。が。犯人らしき人が耳にささやいてくる。
「これは余興だから合わせてくれ」
と、白露の父さんの声がした。私は頷いた。
「うぐっ……」
私は持っていたトマトジュースをぶちまけ、その場に倒れる。あーあ。服が台無しだよ。マジの演技してやるよ。私は手を伸ばし、そして、一気に力を抜いた。そして目をつむるとどたどたと足音が聞こえてくる。子供たちが駆け寄ってきていた。
「俺は餅を奪いに来た餅強盗だ! 命が惜しければ餅をすべて寄越せ!」
「子どもたちがうった餅をっ……! 恥を知れ!」
「お姉ちゃん大丈夫!? おかーさん! きゅーきゅーしゃ!」
「わ、わかったわ!」
と、電話したふりをしている。
私はそのお母さんに目配せをし、頷いていた。わかったのかな?
すると、一人の男性が近づいてきて、私の手首を触る。
「脈がない……」
「すでに死んでるってことですか?」
「ええ……」
あのー、動かないのも辛いんでそろそろ……。
「でやぁ!」
「ぐわあーーーっ!」
強盗は投げられ、そして、組み伏せられる。
「現行犯逮捕だ!」
と、そのまま連行していった。
そして、そのまま出ていった強盗が覆面を脱いで札を担いできていた。どっきりと書かれた札。私は立ちあがる。
服がトマトジュースで汚れてしまったが……。まあいいさ。
「え、お姉ちゃん生きてる!」
「あはは……。地獄の底から蘇ったぞ!」
「パン子なら実際なりそうで怖いがな」
「うっせえ白露」
「えー、まあ、余興の一つでした。子供たちびっくりしたかな?」
「した! おねーちゃん生きててよかった!」
子供たちが駆け寄ってきて、婦警さんたちも作り終わったのか餅を持ってくるのだった。
「あらあら、人気ねぇ」
「トマトジュースで汚れてるじゃない! どうしたの」
「さっき死体ごっこしてました。ああ、今床拭きますので」
「本格的な演技ねえ」
と、みんなに餅を渡しながら笑顔でそういってきた。
お汁粉美味かったです。




