大悪魔パビロンと対峙
大悪魔パビロンと対峙する。
どこまで逃げたかは知らんが、遠くまで逃げれてるといいなとは思う。ちょっと本気出す。ものすごくやばそうな相手だから。
頭を使え、そしてその知恵で叩きのめせ。私のやり方はいつもそうだ。こざかしく、うざったく、緻密に。私の才能ならばそれができる。
「勝算が見えた。やるか」
私は大悪魔パビロンに勝つ未来が見えたのだった。
私はナイフを投げる。ナイフは大悪魔パビロンに刺さった。物理攻撃は効く。パビロンの次の動作はきっと距離を急激に詰めて攻撃。
私は一歩後ずさった。
「なっ……!」
「やっぱり。そう来ると思った」
先を読め。先を読まないと多分負ける。
野生の勘というかなんというか。やばい。この相手はやばい。マジでまずい。こいつは結構な強敵だ。頭を使わないと勝てない相手だ。レブルと同じくらいだろうか。
レブルも相当やばい部類だから同じくくりにしたけれど。
で、次のパビロンは左腕で攻撃と見せかけて右腕で……!
「右!」
「なにっ!?」
パビロンの右腕にナイフが刺さる。
紫色の血が垂れていた。ぽたぽたと地面に垂れ、パビロンは私を睨んでくる。
「なぜ悪魔でもない神ですらない眷属のお前が未来を視ることができる!?」
「未来を視てるわけじゃない。あんたは私の手のひらの上なの」
相手の細かい動作を見逃さず。
ただ相手の動きに集中していればどう動くかは自然とわかる。あと、私の推測能力が高いというのもあるだろう。こうしてくるというと基本そうなる。
本気出せばこんなもん余裕っすよ!
「こっちも本気だからできることなんだよ」
「ほう? 最初は相手の強さを確認するために小手調べをすると思ったのですがねえ」
「小手調べは無能がやることだ。怠惰なやつがやることだ。見ただけでわからないと意味がない。最初から本気出さないと負ける相手に小手調べをする時間はない」
私は集中する。
パビロンは私が話している間、下に何か瘴気みたいなものを出していた。きっと自分との会話に集中させ、気づかせないようにするトラップ。
だがしかし、私はきちんと見ているぞ。
私は水を放ち、トラップをなくす。
「トラップにも気づくとは……!」
「私に罠は通じないの」
ただ、問題は迂闊に近寄れないということだ。
あの取り込みを受けた際、ダメージを受けていた。状態異常がかからないようにしているからダメージだけで済んだがきっとあれは状態異常も付与するものだ。
メイド・イン・ヘヴンの条件は未達成。たぶん達成はできないだろう。
「ここまでのマジの強敵は初めてであったよ。レベルはきっと私の倍くらいあるよね?」
「そうですねえ。あなたが100レベルあるとするなら、私はその四倍でしょうか」
つまり400レベルだ。
人間でもここまでの天才はいない。いや、ビャクロの本気を出した感じがこうだろう。なんだか不思議な気分だ。ちょっと自分でもワクワクしてる。こいつを倒したいと心から願う。
だがしかし、ビャクロはこの高揚感を味わっても、正々堂々とやる人だ。私は違う。
「もっといたぶりたい……! 楽に殺したくないな」
楽しいと、いじめたくなる。
断末魔を聞きたくなる。私はきっと悪魔なのだと思う。誰よりも悪事を好む。普段はその悪事はあまり働くことはない。現実だと面倒なことになるからな……。
だけど、これはゲームだ。PKも、窃盗も許されている。それに、あいつらもいない。
タガを外しても、いいよな?




