癇癪起こす親子
そして翌日。昨日が全校集会と終業式ということだったので20日。冬休みに入ったのだった。
だがしかし、多分今日は休めないんじゃないかなぁ。
すると、扉をどんどんと叩く音が聞こえる。
「来たか」
案の定来ると思ったよ。
私は玄関まで行き、扉を開けると伊東と、その母親らしき人がいたのだった。タダで転ぶとは思っていない。だからこそ待ち構えていた。
恨みの視線を伊東はこちらに向けてくる。私は何かわからない顔をしてとりあえずすっとぼけることにした。
「えっと、なんですか?」
「なんですか?じゃないでしょう。お宅、うちの娘に恥をかかせたそうじゃない」
「はぁ」
「寒いから家にあげなさいよ」
「嫌ですよ。逆上して物壊されたら迷惑じゃないですか。喫茶店で話しましょう」
私たちは喫茶店に場所を移したのだった。
私はコーヒーを頼み、話を聞くことにした。
「そもそも、恥をかかされたって言いますが、恥をかかされることをしたそちらに原因があるんじゃないですか?」
「うちの子がいじめなんかするわけないじゃないの! 嫉妬してやってもいないいじめの犯人に仕立て上げてるんでしょ?」
「ちゃんと映像もあるし、その映像は全校生徒が見ました。誰から聞いても伊東さん本人だと思いますけどね」
私はコーヒーを飲む。
もちろんアイスコーヒーだがね。ホットを頼むとぶっかけられたら困るからな。
「私から一つ言わせていただくと、自分の娘だからやってないって言うことはないんじゃないですか? やった結果がこうなったんです。素直に認めては?」
「やったってことはよしとしましょう。ですが全校生徒のまえで晒すことはなかったんじゃないですか?」
「その件に関しても個人的に問い詰めてもはぐらかされるだけでしょうし、先生にチクればどちらにせよ噂は広まって知られるのは時間の問題ですよ」
相手の母親と伊東はイライラを募らせていた。
私はいたって冷静なので、別に何とも思ってないが、見てて滑稽すぎるのだ。
「やりすぎだって言ってんのよ! 名誉棄損で訴えるわよ!」
「ならばこちらもいじめで訴えますけどね。それに、私たちはいじめの事実があった事を知らせただけです。私にはろくな映像処理技術もないのでモザイクとかつけれませんでした。その点に関しては謝罪いたします」
「謝るぐらいならあの日のことは嘘だといって回りなさいよ! 誠意がないのよ!」
「謝ったのはモザイク処理をしなかったことに関してです。いじめていることに関しては事実ですし、広めたことは後悔することも、誤る謂れもありませんがね」
すると、伊東はイラつきがピークに達したのか、目の前の水を私にぶっかけてきた。
私は髪から水が垂れる。ぽたぽたと水滴が座席にかかっていた。私は濡れた座席を見て、目の前を向いてにっこりと。
「これでまた一つしでかしましたね。これは衆人環視の眼もあります。どちらが優勢かわかりますよね?」
「うっさいわね! あんたむかつくのよ! 学校でいい気になりやがって! 女王様気取りか!」
「別に? 周りが恐れてるだけでそんなつもりはありませんよ」
「あー、むかつく!」
と、私の胸倉をつかんできた。
私は抵抗はしない。
「お客様! 店内での……!」
「あんたは黙ってなさい! 個人の問題よ!」
「お店側に迷惑かけてる時点で個人の問題じゃないってことわかってます? すいません店員さん」
「放しなさい!」
と、店員が私と伊東さんを離した。
伊東さんはイライラを隠せず席に座り、私はいててと胸をおさえる。
「で、あなたたちが懲りずに暴力を振るいました。訴えますか?」
「もういいわよ!」
といって、相手は自分の不利を察したのか逃げるように去っていった。
「……負け犬」
「お、お客様……」
「こっちも侮辱したからさっきの暴力はチャラでいいですよー。えっと、店員さん。迷惑かけてすいません。周りのお客さまも……。店員さん。迷惑料も含めてお受け取りください」
私は財布から三万を取り出し、店員に渡す。
さて、私はちょっと家を守りに行かなくちゃなー。




