楽しかった遊園地
楽しかった遊園地も終わり、私たちは車に乗り込んだ
結構はしゃぎまわった玲奈ちゃんは疲れて寝てしまい、くーと可愛い寝息を立てながら眠っている。月乃も若干眠そうだが、頑張って耐えているって感じだ。
白露はというと、まだ物足りないのか元気で、私は別に普通。
「なんていうか久しぶりに現実世界でこんなはしゃいだ気がするわ」
「そうだねえ」
「最近は現実もゲームも忙しいのよ。なんであの帝国の統治を私がしなくちゃならないのよ。飛び地にもほどがあるわ」
「ま、今現在統率してやろうという気概を持った奴出てきてないからねえ。ってか現実でもなにかあんの?」
「もうほら、年末じゃない。決算もあって忘年会もあっていろんな所からパーティーに誘われてるのよ」
社交かー。
月乃はいいところのお嬢さんだしあるだろうな。年末年始は特に忙しそうだ。
「いつも苑木家と吽神家には顔を出してるんだけどそのほかの家は結構気まぐれに参加するのよね。大体は父さんが行くし」
「……私もそうだな。父さんが警察の結構上層部って言うこともあって警察の忘年会にも出席はしているが……月乃みたいに多くはないな」
「私ただのサラリーマンの家庭でよかったー」
白露も一応いいとこのお嬢ちゃんなんだよな。
警察の父を持つ。家柄は私が一番低いのだ。月乃ががちでキレて私を潰そうとすれば簡単に潰されるほど私は力がない。
月乃の近くだからこそ権力あるっていうものもある。要するに虎の威を借る狐ということだ。
「今年もめちゃくちゃお誘い来てるのよねえ。返信しないでも失礼や勘違いに当たるし当たり障りのない言葉で拒否しなくちゃならないの嫌なのよねえ。素直に『嫌だ』と言えたら……」
「大変だな」
「見栄とプライドと地位はどうでもいいじゃないの。私なんかお嬢様学校に通ってない変わり者のお嬢様よ? どこがいいのかしらね」
「地位だろうよ」
「そうよねえ」
それは阿久津家だからだ。
阿久津家は結構な発言権もある。過去には総理を出したくらいには結構な名門だとされる。だからこそ怖いのだ。一度総理を出した家系で、尚且つ総資産もあり、日本経済の三割を担ってると噂される阿久津家だからこそやばいのだ。
「それで今年の年末は月乃の家でっていう話だけどどう? 開けれる?」
「それはもう強引にあけてやるわ。年末くらい友達といたいもの。何が悲しくてあんなプライドと見栄だけの奴らと一緒に日の出を見なくてはならないのかしらね」
「プライドと見栄って一概には言えないと思うけど結構くるもんなんだな精神的に」
月乃がここまで愚痴を言うとはなかなかやばいものだ。




