遊園地のお誘い
家に帰ると月乃たちがいた。
月乃は少し笑っており、裕介伯父さんがちょっと怒っている。宥めてるのは右助叔父さんで、その形相はちょっと焦りがあった。
わかってるんだな月乃のこと……。月乃が何者かわかれば普通は顔を青ざめるだろう。特に裕介伯父さんは……。酔ってるからなんだろうけどね……。
「こらー! なにしとっとねー!」
裕介伯父さんの妻である真紀子おばさんが裕介伯父さんを止めに入った。
羽交い締めにし、そして四の字固めを繰り出している。プロレス好きなの? 綺麗に四の字固めを決められた裕介伯父さんはギブギブといいながら地面をたたいていた。
其れでも力を緩めない真紀子おばさん。右助叔父さんとその妻である悠里さんは苦笑いを浮かべていた。
「パン子、遅かったわね」
「買い出しにいってたの。で、二人なんできたの?」
「歩いてきた」
「いや、来た方法をしりたいんじゃなくて来た理由を知りたいの」
「今日学級閉鎖ってこと伝えてなかったでしょ? だからそのお詫びと称して遊びに来たんだけど……。あ、これ新鮮なアワビね。知り合いの漁師さんから譲ってもらったのよ」
「おー、美味いんだよなー。ありがと。あとで私焼いて食べるさ」
アワビを受け取り、冷蔵庫にしまう。
まだ昼前なのもあり、結構時間は残っているな。特にこれといって家事の類もないし今日は一日中フリーかな。
洗い物とかは悠里さんたちがやってくれるっていうし。子供の私は遊んでれだと。普段から家事してるから別に慣れっこなんだけどなー。
「で、何して遊ぶ?」
「遊園地よ。今日うちの会社の人みんなで遊園地にいってるの。一緒に行かないかしら」
「おー、いいよ。久しぶりにジェットコースターとか乗りたい」
「ただしパン子。お化け屋敷のほうにはいかないでね?」
「え、なんで」
私お化け怖くないし。
立て直しとかしてるのかしら。
「私たちが行くところは人が脅かすタイプだからパン子がいくと逆にその人の心を折りそうだから……。恐怖を植え付けそうだから」
「嫌だ。ならなおさらいってやるさ」
「もう……。お化け役の人の事も考えなさいよ……。あんたタダでさえ人の心を折るのに……」
もちろん変にいちゃもんつけたりしないさ。
迷惑で悪質なクレーマーではないからね。何度も怯えさせようとして脅かそうとするも不発に終わり何度もやる姿を見るのがちょっと面白いだけだから。
前にもいったと思うが別に私には怖いものはない。たぶん。
「遊園地いくの?」
「ええ、うちの会社で貸切ったので……。よければいきます?」
「いや、いいわ。友達同士で楽しんできなさい。それにしても貸切るって結構金あるのねぇ……」
「まあ、親が親なので」
こいつの親本当にトップクラスの金持ちなんだよな。
親も親なら子も子で月乃の資産も数え切れないほどもっているときいた。高校生の分際でそんなに……と思ったが月乃が考えた商品の売り上げが月乃の残高に入っているらしく、ちゃんと自分で稼いだものだったらしい。私が考えたらもっと売れるよたぶん。消費者のニーズとか心を掴むようなものならいくらでも考えてやるさ。
こちとら人の心を揺さぶるのがうまいパン子さんだぞ。
「ほら、ちゃっちゃと制服から着替えなさい」
「はいはい」
私は部屋にいき、着替えようとすると玲奈ちゃんが入ってくる。下着姿の私に玲奈ちゃんは上目遣いでこういった。
「れ、玲奈もゆーえんちいきたい!」と。しょうがないなって思って秒でオーケーした。




