ビャクロをおとせ
ビャクロは鍛錬場にいたのだった。
ワグマもあの機械に入り男状態になっている。なんていうか、ワイルドイケメンになっていた。やべえよあんた。凶暴さが増したじゃねえか。ただでさえ凶暴なのに……と考えていると足を踏まれた。
「何考えてるのよ」
「その顔でその口調やめてくんない?」
「そ、そうだったわね。いやそうだな……。演技演技……」
私たちはビャクロのトレーニングが終わったところで拍手をして出ていった。
「見事でしたよ。ビャクロさん」
「ん、誰だお前ら」
「えっと、俺らは……」
「ちょっとばかし魔王様に用事があって謁見できるまで見学してるんですが……あなたの身のこなしは実に見事ですね」
私はそういうとビャクロは嬉しそうに頭を掻いた。
いや、胡散臭いだろ、あんた意外とちょろいからな。
「ビャクロさん。あなたのような可愛い人が武を極めている。実に素晴らしいと思いますよ」
「そ、そうか? いや、極めているっていうわけではない。まだ極めてはいない」
はい、おちた。
隣で見ているワグマは少し笑っていた。笑いをこらえていた。それに気づいたビャクロはワグマに向けて嫌悪な目を向けている。
そら笑われてると思うよな。初対面の人に笑われてると思うよな。
「なにがおかしい?」
「い、いや……。見事に騙されてるなって」
「なにがだ?」
「その、こいつパンドラよ。私ワグマ」
「は?」
驚いた表情で私たちを見る。
「な、なんで男になってるんだ!? っていうか、だましたなーーーーーー!」
「やべっ」
ビャクロが投げようと追ってくる。
私は必死に逃げる。
「せい!」
「あ、物理攻撃は無効の状態なのねやっぱり」
掴もうとしたビャクロが私の体を貫通する。私は笑うと、ビャクロは顔を赤くしていた。どうやら騙されたことが恥ずかしかったらしい。
からかっただけじゃないですか……。
「……っ!」
無言でぺしぺしと叩いてくる。
「悪かったって。ちょっとしたいたずらごころだから。ワグマも見事に騙されたから」
「こいつ、私たちが萌えるところをピンポイントで突いてくるから困るのよ。私だって可愛い見た目に反して強引に攻めるというのが結構好きなのよね」
「むぅ~~! 人間不信用になるぞ!」
「人間不信な」
「むう! 現実であったら覚えていろよ……!」
「げ、現実まで持ち込む必要は……」
「ダメだ! それじゃ私の気が収まらん! 明日は柔道の投げ技に放課後延々と付き合ってもらうからなこの野郎!」
と、ビャクロがログアウトしたのだった。
時刻を見ると夜の十二時。よい子はゲームを辞める時間だ。私も勉強があるしここらでやめようかな。
「じゃ、ログアウトするわ」
「ええ」
私はログアウトしたのだった。
翌日の白露は、めちゃくちゃ鬼でした。
数十回投げられてやっと許しをもらえました。




