学校前でじゃれつく私たち
12月に入った。
雪こそ降ってはいないが、とても寒い。四季がはっきりしているのはいいが、こう寒いと外に出るやる気をなくす。ただでさえものすごくやる気でないのに。
あの後アデュランがどうなったかはわからない。逃げ込んで来いとは言ったけれど、アデュランの性格上逃げ込んでくるわけがない。
「ぶえっきし!」
「大丈夫か?」
「おっさんみたいなくしゃみね」
うっさい。
私はコートにマフラー、耳当てと完全防備で登校していたのだった。
北風と太陽。北風が私の登校を邪魔をする。太陽よ、もっとあったかくしてくれていいんですよ。ただでさえ寒いのに……。
「冬休み早く来ねーかなー」
「そうだな。早く来てほしいものだな」
「の前にテストあるじゃない」
「それを言わないでくれ……」
テストなぁ。
学期末テストって赤点は絶対取らない自信あるし問題はないんだが。今回も白露に教えるのかなぁ。なんかめんどくさいなぁ……。
でも教えないと白露留年しそうだもんなー。
「それよりあんたら一昨日くらいゲームでどこにいたのよ。全然見当たらなかったじゃない。せっかくダンジョンの情報手に入れてみんなでやろうと思ったのに」
「……あ、えっとその時は」
「ニホンの王城でバトルしてたな」
「……は?」
「クエストか何か知らんがニホンを蝕む悪魔と二人で戦ってたんだ」
「おい、白露……」
「なんだ?」
それをいうと……。
私は月乃のほうを見ると、ぷるぷる震えていた。
「な、なんで私だけハブるのよーーーーーー!」
と、泣きながら私の胸倉をつかんで揺さぶってくる。
いや、ごめん。まじごめん。
「私だけハブってそんなのと戦ってたの!? 私も参加させなさいよ! なんであんたら二人だけで楽しむのよ!」
「楽しくはなかったぞ。なんていうか、複雑な気持ちになった」
「それでもよ~! もー!」
と、私のマフラーが月乃の手によってはがされた。
「さぶっ!」
「私をハブった罰よ! いい気味ねえ!」
「悪かったよ悪かったと思ってるよ私自身手を下したくないから白露に頼んだだけなんだって」
「それでも私も誘いなさいよ!」
「あ、さっきのいうのまずかったかもしかして」
「今更気づくんかい!」
「むきーーーーー!」
「次は絶対誘うから」
「信じられないわよ! 前もハブってたじゃない!」
「……」
あのダンジョンな。ミミックの。
あれも不可抗力で……。その、なんていうか、前科があるから信じられねえな私でも。
すると、その時だった。
目前にまで迫っていた学校からチャイムの音が鳴った。携帯で時刻を確認してみると8時35分。朝のホームルームが始まる時間になっている。
学校前でじゃれついていたら見事に三人遅刻が確定したわけだった。




