敵の確認
悪魔サルタンと交信しながら一人一人話をしていた。
「この国の王子ってどう思います?」
「王子? あー、最近人が変わったっていうか、子どもの頃のような感じになったわねー。いい傾向じゃないかしらー?」
「仕事に励む姿はかっこいいよねー!」
「私たちももっと高い身分ならアピールしてたわ!」
メイドさんたちと話していた。
『どう?』
『悪魔の気配は感じない』
ということなのでこの人たちはシロと考えていいだろう。
まあ、なんとなく違うとは思っていた。この子たちはどちらかというと後宮の世話をするメイドで王子とかかわることがまず少ない。
本命は王子とかかわる人物。宰相あたりなどが怪しいとは思う。あと王子付きの侍女等々。怪しい人物はやまほどいる。
「ですよねー! 私もそう思いますよ!」
「そうよねー。かっこいいものねえ」
「では、私仕事に戻りますね! 雑談に付き合っていただきありがとうございました」
私はそういってその場を後にした。
私は模倣スキルを使って現実の私にそっくりな感じに模倣していた。模倣超便利すぎてやばい。自分で考えて想像さえできたらできるとかやばくね?
「うーん、どうやって……」
『悪魔なのか? 本当に』
「その可能性があるってだけで、確信があるわけじゃないけど……」
でも、可能性が高い。
『うーむ。相手の気配の隠し方がうまいのやもしれんな。だがしかし……悪魔公爵と名高い吾輩の敵ではない。すぐに見つけよう』
「頼んだよ」
『まかされ……む』
「早速見つけた?」
『うむ。気配を感じたぞ。すぐ近くに人はいないか? おおよそそいつだ』
私は周りを見渡してみる。人らしき影はなく、曲がり角近くも覗いてみると、女性が男性と話していた。
近くといえばそいつらだが……。うーむ。
『あの女だ』
「ほう?」
『あの女が悪魔である可能性が高い』
「さんきゅ」
顔はばっちし覚えた。
なるほどな。あの身なりからして結構高貴な身分だろう。身のこなしからしても上品気質があふれている。乳母か何かだろう。
なるほど。乳母ならばかかわりがあるかもしれないな。乳母という身分で世話役……なのかもしれん。
「まあ本来私が手出しする問題じゃないけど、手伝うって言った以上私もあいつの敵にならないとねえ」
だがしかし、馬鹿正直にいくわけにもいかないだろう。
精神操作でもされたら困る。だから策を弄しよう。倒すんなら余裕をもって倒さないとね。戦いで消耗するのは嫌いなんだ。敵を知ったら事前に準備をして罠にハメる。それが私のやり方。
でも、相手がこちらの存在に気づいてない以上、罠にハメれるわけがないけれど。




