一夜で築いた魔王城
かの豊臣秀吉は一夜城を築いた。
いや、それはたんに見せかけだったのだけれど。今の目の前のこの城は……見せかけではないんだろうな。いや、ログアウトしているときに何があったし。
目の前にそびえるは、禍々しくも凛々しい城。
「な、なによこれ……」
「知りたいか? 知りたいならば教えてやるぞ?」
吸血鬼のパライゾが私たちの目の前に着地する。
そして、むふーと鼻息を吐き、そして、嬉々としてこの城の説明をし始めた。
「これは魔王城だ! 人間の建物の瓦礫を使った! 魔女の手腕がよかったのと、リッチーで人材には困らんかったなぁ」
「瓦礫で築いた一夜城……」
どうせ中はそんなでもないんだろうな。
建物を作るには結構な時間が必要だ。しかもこの上等な見た目。中はきっとまだすっからかんなままなのかもしれない。
中に入っていいかと聞くと、どうぞ入ってくれと言われたので、中に入る。
玄関にはシャンデリアがつけられ、赤いじゅうたんが敷かれて目の前の大きな扉にまで続いている。
「うわぁ、立派」
「内装は魔女とデュラハンに任せたのだ」
「ねぇパンドラ。これ一夜で建設できるもんじゃなくない?」
「あ、ああ。一夜でこれ建てることできるのか?」
「現代ではまず無理だなぁ……。いや、一夜城というのはあるにはあるけどそれほとんど見せかけだぞ……」
さすがは異世界。魔法があるからできる……わけがなくない?
魔法ってそんな便利なの? 一夜で建物立てれるほど便利なのか?
「そして、みるがいい! ここが、こここそが魔王城のメインといえるだろう! 玉座の間だ!」
重厚な鉄の扉がゆっくりと開かれていく。
そして、中には赤いじゅうたんが敷かれており、その絨毯は金のふちに紫の色の布をうった椅子まで……玉座にまで続いていた。
ワグマは、玉座に魅入られたのか、そこまでゆっくり歩いていく。
後ろには森の賢者たちがいた。すこしやつれていた。
「パライゾ……。一夜でここまでするって流石に疲れたわよ……」
「騎士として体力はあるつもりだったんだが……ふぅ」
「私も結構な数ほどアンデッドを召還しましたのぅ。さすがに骨が折れましたわい」
「なにをぼさっとしている。魔王様が玉座に座る。それを見届けろ」
「私たち何もしてないからこんなこと言えるんだけどね」
「もうなにもいうな。魔王様が座られるぞ」
森の賢者たちはすでに傅いている。
デュラハンは剣を置き、その場に手をつき、片膝をついて頭を下げている。他の賢者たちもそのような姿勢をとっていた。このポーズがこの世界での忠誠の印なのかな。
まぁそれはいいとして。
ワグマは、玉座の前に立った。そして、ゆっくりと椅子に座る。
私とビャクロは玉座の横に移動していった。
「これが……王の視点……」
意外と魔王になるの楽でしたね。
変なこだわりさえ捨てれば魔王になるのは結構簡単だ。ワグマ。おめでとう。
「魔王ワグマに忠誠を誓う。我ら森の賢者、魔王軍として、魔王様の民として魔王様のために尽力します」
「パンドラとビャクロも同じくね。魔王様?」
「わかったわ。魔王として、あなた方を導きます」
魔王ワグマが生まれた瞬間だった。
《魔王が、生まれました》
そういうアナウンスが聞こえて。
パンドラ・賢者「邪魔だ!」
プレイヤー「自由を奪った状態で街を壊滅させるなんて…!」
なんとなく思いついたネタ




