魔王を討ち取りたい?
私がカイハの体で魔王城を歩いている。
すると、ワグマに声をかけられたのだった。
「カイハ、パンドラ知らない?」
「ん、私だけど」
「いやいやいや、カイハ、そういう冗談はよしなさいよ。嘘は……」
「だから私だって月乃」
「なんで私のリアルの名前を!?」
ワグマに一から説明するのだった。
ワグマは感心するかのように息を吐いた。
「なんていうか、何でもありって感じがするわねあの発明家……」
「私もこれやったときには驚いたよ。で、用事って何?」
「ああ、ニホンへいかないかしらって。ビャクロも誘ってるんで行くわよね?」
「ああ、いくよ」
たまには三人だけで行くっていうのも悪くない。
基本行くのソロか、レブルとかNPC連れていくだけだしね。
ニホンの王都に入ると、何やら集まりが起きていた。
人混みをかき分けて、進んでいくと、そこには四人の男女がいる。装備を見るところ冒険者だろうか。冒険者は天に剣を突きつけた。
「俺様は勇者御一行である! 魔王がいると聞き、かけつけてきた!」
と、そういう風に演説を始めたのだった。
それを聞いたワグマは少ししかめっ面をしている。
「皆も不安だろう。魔王がいると。だが安心しろ! 魔王は必ず俺が討つ!」
「いや、別に不安じゃねえな」
「むしろありがたいわ~。魔物の被害が少なくなってるし」
そういったような声がわく。親魔王の国民さん流石です。
そういうことを言うとは思わなかったのか、自称勇者御一行は少したじろいでいた。すると、子どもがいきなり声を上げる。
「あー! 魔王様だー!」
「え?」
「また飴ちょーだい!」
「ワグマ、飴上げてたの?」
「つい欲しそうだったから……」
大阪のおばちゃんか。
「魔王ッ……!」
「……なに? 私たちとやるの?」
「早速の死亡フラグありがとうございます……」
三日は死ぬわけにはいかねーんだ。全力で回避させてもらう。
「ちょっと待ってくださいよお二人とも」
逃げる……というのも考えたがそこらへんに野良PKがいないとも限らない。
口説こう。
「ここでやり合うわけにはいきませんよ。それに、勇者御一行。あんたら国民がどういう目であんたを見てるか今わかる? 軽蔑の目をしてるぞ。ちなみにいうと、魔王が死ぬと魔王軍があんたに総攻撃するだろうし、それに、魔物を統治する人もいなくなるから……また、魔物の被害が広がっちゃうよ。あんたがしようとしてることって、本当に正しいことなのかなー?」
そこまでいうと勇者は剣を渋々収めたのだった。
「……わかった。悪かった」
「いいわよ。せっかく遊びに来たのに戦いたくないもの」
「遊びに……?」
「最近魔王城に引きこもってばかりで体鈍ってるのよねぇ。冒険者ギルドでもいって適当に依頼こなそうと思ってたのよ。カード作ってないけど」
「……金はあるのか?」
「金?」
「冒険者になるには金が必要なんだ」
「見くびってもらっちゃ困るわね。財政難っていうわけじゃないしあるわよ」
どうした? いきなり。
「その、詫びになにかしたい」
「ああ、別にいいわよ。っていうか、たまにこういうことあるから慣れてるわ」
あるんだ……。
まあ、たしかに王、というのは首を狙われやすいし仕方ないのかもしれないな。
「じゃ、いくわよあんたら」
「へいへい……」




