各々好きに戦いなさい
ワグマは不安に思っているらしい。あと、私も不気味だって言った。
まさしくその通りだと思う。いや、特に気にしたことはないけど私ってあまり感情が顔に現れないらしい。結構笑ってると思うんだけどな。
そして、私はもう気にしてないのに、ワグマは過去の事を引きずっている。ちょっと可愛い。
「ほら、ワグマ……じゃない。魔王様。号令」
「え、あ、うん。いくわよ!」
おーと賢者から声が上がる。
賢者は吸血鬼のパライゾを含めて全部で七人らしい。この広大な魔の森で七人がそれぞれ生活をしているのだとか。
リッチーのエディット、エルフのサユリ、魔女のエリザベス、首無し騎士アガルギルド、森竜フォレトス、悪魔サルタン、吸血鬼のパライゾ。
全員が協力的なのは助かった。全員が全員人間を相手どる理由があるらしい。話を聞くと、エディットは賢者で、魔王討伐の為に勇者御一行に一緒にいたけれど、裏切りにあい殺されたらしい。
エルフのサユリは住んでいた森を人間に焼き払われて親を失ったらしい。エルフはほとんど人間を敵視しているんだとか。
魔女のエリザベスはもともと人間。貴族の令嬢だったが、冤罪を吹っ掛けられ婚約破棄をされてしまって、冤罪を吹っ掛けた犯人を恨んで魔女になったらしい。
デュラハンのアガルギルドは王女様に見初められたけど、拒否したら王女様の不興を強く買ってしまい昼食に毒を盛られて死んだとか。なんで首がないのかというと、王女様が切り取ってもっていっちゃったらしい。メンヘラかよ。
森竜フォレトスはエルフの森にもともといたけど焼き払われてってことでほとんどエルフと一緒。
悪魔サルタンは理由は面白そうだから。
吸血鬼のパライゾもサルタンと同様。他の奴らとは違ってなにもされていないが、相手どるのは面白そうだから。
二人以外人間に恨みがあるらしい。
「魔王様が人間界を支配する前哨戦ってことよね? ふふ、私を裏切った王国よ、ひれ伏すがいいわ! 私は魔女として力を手に入れたんだよぉ!」
「これこれ。あまり感情に身を委ねていると足元をすくわれるぞい。冷静に、蹂躙せんとなぁ」
「エルフの敵……!」
「私はもう特に恨んでないが……。しいて言うなら首を返せということだろうか」
デュラハンはどこから声を出しているのだろう。
それぞれがそれぞれの武器を構える。
魔女、リッチー、エルフは杖を。デュラハンは剣を。悪魔は槍を。パライゾと森竜はその身を武器にして戦うらしい。
私も弓を手に持っておく。
「これは魔王誕生の祝福。各々好きに暴れまわっていいんですよね魔王様?」
「ええ! この私が許可するわ! 私の寝首……仲間の寝首をかくこと以外は好きにやって良し!」
「まぁ俺にはかかれる首もないがな」
デュラハン。それ今言うな。




