裏切りの計画
時は少し遡り、イタリアンレストランを出る。
「ライザックたちはどうする? これからはしごするんだけど私」
「この現状を見て言うか……うぷっ。食いすぎた……」
「僕たちは一足先に戻ってますよ……。最後までお供できずすいません」
と、イルマ、エクス、ライザックは帰っていった。
私は一息つくと、その足でニホンの城へと向かうのだった。とりあえず見えない位置から空を浮かんで中に侵入する。やってることがあれなんだけど、別に王命を狙うわけではない。
そして、王城の中に降り立った私と、アデュランが目を合わせた。
「なにしてんだーーーーー!?」
「やっべ、バレた」
「は、早く帰れ! 見つかったらやばいぞ」
「そうもいかないんだな。ちょっと君たちに頼み事があるからさ」
「た、頼み事?」
アデュランの私室に通され、私とアデュラン、そしてレオンが向かい合う。
「アデュランから聞いたよ。侵入してきたんだって?」
「いや、普通に正面から入っても入れてもらえなさそうだからさ」
「その時は俺かレオンの名前を出せばいいだろう……。すぐさま確認に来るだろうし問題はないだろうが」
「そうだね」
あと、なんとなく侵入しました。
「それで頼み事とは? 正直厄介なことだと思ってるが」
「厄介なことじゃないと頼み込んでこないだろうしね」
「私のことどう思ってんの?」
心外だ。
私は決して厄介事を頼むわけじゃない。
「まあいいさ。これから私たちは嘘の共犯者になるんだから」
「共犯者?」
私はコホンと咳払いをする。
「君たちには……魔王軍に戦争を仕掛けてほしいんだ」
私がそういうと、二人は固まったように動かなくなった。
どうしたんだろう。アデュランは昔やってたことじゃないか。今更嫌だとかは言わせないぞ?
「待ってくれ。なぜ戦争を仕掛けなければならない!? あんた魔王軍を裏切るのか!?」
「そうだ。理由を聞かせてほしい」
「理由、ねぇ。ま、ある帝国を潰すためさ」
「帝国って……エヴァン帝国か?」
「正解」
私はお茶を飲み干した。
「とにかく、どれか一つの国が、王が魔王軍と戦争したという事実が欲しいだけだよ。でも、戦争をしたって思わせるのは結構難しいから、なんなら本当にさせちゃおうかなーっていう話でね」
「焦らせるためだな。だが、戦争となると俺は拒否する。昔の俺ならば受けていただろうが、今は違う。戦争となると国民が犠牲になる。俺たちにとってはエヴァン帝国を潰す理由がないから、戦争に参加させることはできない」
「アデュランの言う通りだね」
ま、そうだろう。
すぐに受けるなどと答えていたら私は軽蔑していた。
「ま、国民は犠牲にしないから。必要なのはニホン騎士団の装備一式を大量に、と、あとアデュラン、騎士団長ぐらいかな」
「……それだけでいいのか?」
「鎧ぐらいなら倉庫に大量にあるが……」
「ならそれを使おう」
私は笑みを浮かべる。
「どう? 国民は参加しない戦争、するつもりはない? ただ、アデュランには大きく泥をかぶってもらうことになる。それでもいい?」
「……魔王の為になるのか?」
「なるさ。アデュランは殺されそうになる手前まで行くかもしれない。けど、私が絶対に手を出させない」
「わかった。信用しているぞ」
「私から頼んで裏切ったりはしないよ。じゃ、これからやってほしいことだけを言うからね」
アドバイス的なことをするとだけはいった。だけれども、それじゃ足りない。
ワグマには悪いけど、今回のエヴァン帝国は長期戦にされたと思うし、魔王軍のことを考えると長期戦にはしたくない。だから、私は裏で動かせてもらうよ。




