破壊こそ至高、絶望こそ最高 ③
戦場に戻ると魔物の軍勢に味方軍が押されていた。
「レブルがいてこれとは数の暴力は恐ろしいな」
私はウルフから降りて、水の刀を創り出す。
別に武器私いらないんだけどね。こういうのは私得意じゃないんだし裏方に回るのが基本なんだけど少しでも戦力がいたほうがいいだろう。
「ウルフも戦闘! 死ぬなよ!」
「……ああ」
ウルフは意外というような目をして私を見る。
なんだよ。私がそう簡単に奴隷を殺すような輩に見えるのか? 奴隷の使い方としては赤点だろうけど私自身は味方が死ぬのは嫌なのだ。
お互いがお互い総力戦。こっちの陣営が崩れかけてきている如何せん戦っている人が少ない。冒険者もそれなりにはいるが、プレイヤーがそれほどいない。怖くて逃げだしたんだろうか。
「レブル! 本気出せ! ローキッスもなァ!」
「はいい!」
「しゃーないわ」
すると、突然私たちの大地が変わる。
突然ポリゴンみたいな感じの空間となった。緑色の線が私たちの目の前に現れる。これはどういうものだろうかと思うと、魔物がこちらに突撃してきても攻撃を受けない。なんだこれ。
「遊戯空間。一切の暴力を禁止するで」
「おいおい、なら攻撃できねえだろ」
「んなことはないで? レブル、攻撃してみい」
レブルが魔物に攻撃をする。魔物の首がはねられた。
一切の暴力を禁止したはずなのにどういうことだろう。
「味方軍には攻撃できるっちゅうバグを付与した。一方的に嬲り殺せるで」
「……最初からやれよ」
「意外とこれ長持ちせえへんねん。ほら、さっさと倒しや」
バグが私たちに付与されているらしい。
なるほど、こういうことができる時点でローキッスは相当やばい部類だ。ゲームモード自体ローキッスが操れるのに自らバグを与えることができるとなると……。厄介だなぁ。
一斉に味方軍が敵に攻撃を仕掛けていく。魔物は逃げようとしたが、動いていない。
「停止バグ。すまんなぁ。クソゲーだからバグが多いんや」
ローキッスは不敵に笑う。
モンスターも動かず、攻撃を仕掛けてきても当たらない。こちらの一方的な蹂躙ができる。このローキッスの力によって戦局は大いに変わったと言えるだろう。
私は剣を敵軍に向ける。
「総攻撃だ! 今がチャンス! 袋叩きだこの野郎!」
「「「「「おおおおおおおおお!!!」」」」」
魔物が次々に死んでいく。
ローキッスは笑ってはいるがとても苦しそうにしている。さすがにバグ二種類にゲームモードは力をたくさん使うのだろう。でも、すごい。
神の真髄の一端をまみえた。神の血からはこういう風にやばいらしい。
私も神の眷属の端くれならば私自身も頑張らないといけないな。
私は自分に水をまとう。
すると、私の体がどんどん変化していくのがわかる。水のように形を変えていく。そして、どんどんとでかくなっていった。
《海王姫から進化しました。海王妃になります。体が液体と化します》
え、なにそれ。
《液体化は物理攻撃が無効になります》
へ、へぇ……。




