タイガーレックスへの反撃戦
反撃ののろしはあがった。
ミノタウロスは素早さはタイガーレックスより上だった。一時的に引き離すことも容易で、私は準備に取り掛かる。川の深さも確認。それほど深くはない。ミノタウロスだと足がつかないだけで、ミノタウロスの数十倍はあるだろう巨体では屁でもない深さ。
「ミノタウロスは隠れてて。合図したら突進ね」
「モッ!」
敬礼をした。
モンスターのくせに……。まあいいとして。タイガーレックスの足音が聞こえる。そして、ワグマの悲鳴も聞こえる。こっちに来ているようだ。
意図を理解してくれたようだ。オッケーだ。
そして数秒後、ワグマを担いだビャクロが走ってきて、その後ろには虎サウルスが。
「ビャクロ! そのまま川沿いを走り続けて!」
「了解した」
タイミングが重要だ。
計算して、当てなくちゃならない。だから……。
「ミノタウロス! 今!」
「モォォォォ!」
ミノタウロスは素早く突進してきていた。
ミノタウロスの突進は虎サウルスの足に当たる。バランスを崩し、虎サウルスは川に倒れこんだ。
「ミノタウロス! すかさず顔に飛び乗って!」
「モッ」
ジャンプして顔にのっかったミノタウロス。
「首根っこ掴んで顔を押さえつけて!」
「モォォォォ!」
わかったと言わんばかりの咆哮だ。
虎だってネコ科だ。猫は首根っこを掴んだら力が抜ける。一種の賭けだったけど、どうやら首根っこを掴むと大人しくなるのは同じらしい。
「ガボッガボガボ」
「モォォォォ!」
私は、吸血鬼の真祖のほうを向いた。吸血鬼の真祖は驚いている表情をしている。
そして、数分後、タイガーレックスはピクリとも動かなくなった。死んだようだ。作戦成功。溺れさせて勝利だ。
ミノタウロスはそのまま体の上を歩いてくる。泳げないからね、仕方ないね。
「吸血鬼の真祖。どう? これでいいでしょ? 倒したから」
「むうう……こんな倒し方するとは思ってなかったが……」
だけれど、勝ちは勝ちだ。どんな方法を使っても勝てばよかったのだ。
「よくもまぁ、こんなこと思いつくな……。ミノタウロスいないと不可能だし……」
「まぁ、最近はミノタウロス前提だから仕方ない」
「博打要素が強かっただろうて」
「勝負に博打要素がないとは限らないから、別に気にしなくてもいいでしょ」
「そうだねぇ……」
「まあ、倒したんだから約束は守ってよ?」
「ああ。守る。仲間になればいいんだろう? 改めて私はパライゾだ。タイガーレックスを倒したお前らは本当にすごい。あれでも私ですらてこずるレベルなのに」
「…レベルは?」
「あれは森のボスと言っても過言じゃないからねぇ。あれぐらいの強さなら……80はいってるね」
……経験値がすごそうだ。
と思って見てみると、五レベル上がって15レベルになっていた。うわぁ。一気に五レベルあがるとはさすがだな。
でも、80レベルを相手どって、勝ったんだよな……。
なんか、やり切った感がすごいです。




