凶悪犯罪奴隷ウルフ ②
私は手枷をつけられた男の鎖を引っ張る。
「君の名前は?」
「うるせえ。喋んねえよボケが」
口悪いな。
私はやれやれという感じに肩をすくめる。私はレブルたちのもとに向かっていった。冒険者ギルドの一角に待たせている彼女たち。
冒険者ギルドに入ると彼女たちの姿が目に入った。
「待たせたね」
「遅いですよぅ。で、どこにいってたんですか?」
「ちょっと奴隷を買いにね」
「奴隷なんて買う人だったんだ」
ユウナはすっかり打ち解けて素顔の喋り方となっている。
指先をくるくるしながら興味なさそうに相槌を打っていた。アンジュは何かを祈っている。
「ちょ、誰だよこいつら!」
「私の仲間。君も仲間になるんだからね?」
「は?」
「君の名前は何? 教えてほしいな」
私は優しく笑顔で問うと、バツが悪そうな顔をして「ウルフ」と答えた。そういえば犬の耳みたいなものもあるし尻尾もある。
もしかして。
「もしかして狼の獣人?」
「んだよ、悪ぃかよ」
「いや? かっこいいじゃん」
「そ、そうか?」
嬉しそうに頬をかくウルフ。
「じゃ、まず君の戦闘能力を見たいからアンジュと戦ってみようか」
「おいおい。いくらなんでもそんな弱っちそうな少女は……」
「さて、どうかな?」
私たちはギルドの闘技場に移動し、アンジュとウルフを戦わせる。
ウルフは爪を立て、牙を剥く。そして、猪突猛進にかけていった。アンジュは軽やかな身のこなしで背後に回り込み、ナイフを突きつける。
アンジュって殺人鬼だけど意外と暗殺者のスキル持ってるよな。完全に音が消えてたし。
「もうおしまいです。私が救うつもりだったのならすでに救われています」
「なっ……」
「ま、こんなもんか。正直アンジュで苦戦するようならまだまだなんだけど……」
多分実力的な面で考えて一番アンジュがこの中で最弱なのだ。
レブルは言わずもがな、ユウナはレブル相手に善戦できる力を持ち、ローキッスは神である。私だって策を弄すれば多分この街一つは潰せるぐらいはできる。
となるとやっぱり最弱はアンジュなのだ。
「君には別方面で活躍かなぁ」
「別方面……?」
「斥候だね。森とか調べるときに先に向かって情報を私たちに教えてくれる人。嗅覚は優れてるでしょ?」
「まあこれでも狼だからな……」
「ならばよし」
多分こいつがいれば策を練りやすいのだ。
情報収集をこいつには専門分野にはしてほしい。そのためには紛れ込ませるための技術が必要なんだけどそれはアンジュが基本的に装備してるんだよな。
「アンジュ。人になり済ますことって出来る?」
「もちろんです。なんとなくできるのです」
「ということ。君には情報収集とかをメインにやってもらうからそのつもりで」
主に戦いが始まった後になるだろうけどね。
敵の本拠地はどこかーとか、そんなことを頼むかもしれない。役割分担はしといて損はない。このパーティの大将が私、レブルとユウナが戦闘員とかね。
一人が兼任するのはよくない。
それに、素早いからすぐにわかりそうだしね。




